◆マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の謎解きミステリー。「超日本語吹き替え版」は、日本に吹き替え版を定着させるきっかけになるだろうか(75点)
昨年辺りだっただろうか。シネコンで、「吹き替えの方が楽だから」と、字幕版がすぐに上映されるのに、わざわざ吹き替え版の上映を待っているカップルを見かけて、ショックを受けた。どんな作品だったか忘れたが、3Dではなかったと思う。
◆マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の謎解きミステリー。「超日本語吹き替え版」は、日本に吹き替え版を定着させるきっかけになるだろうか(75点)
昨年辺りだっただろうか。シネコンで、「吹き替えの方が楽だから」と、字幕版がすぐに上映されるのに、わざわざ吹き替え版の上映を待っているカップルを見かけて、ショックを受けた。どんな作品だったか忘れたが、3Dではなかったと思う。
◆浅野いにおの漫画を映画化。宮崎あおいと高良健吾の主演で、夢と現実の間でもがく若者たちの青春をリアルに描く(75点)
劇場用長編を初めて演出する三木孝浩監督が描く若者たちの世界は、ある意味、生ぬるいと思う。まるで大学のサークルの延長のような、優しい人間関係。そこには社会の厳しさは感じられない。お互いに甘え合って生きているような印象なのだ。しかし、現実とは、そういうものではないだろうか。本作の生々しいほどのリアリティーは、三木監督の徹底的に若者サイドに寄り添った視点にあるような気がする。
◆リチャード・マシスンの原作を「ドニー・ダーコ」のリチャード・ケリーが映画化。ケリー監督のファン向きの哲学風トンデモSFだ(67点)
ボタンを押せば100万ドル(約1億円)が手にはいるが、代わりに見知らぬ誰かが死ぬことになる。そんな「選択」を迫られた夫婦の物語だ。運命の皮肉を扱ったサスペンス・ミステリーかと思ったら、「ドニー・ダーコ」(2001)のリチャード・ケリー監督らしい、実にマニアックな、哲学風トンデモSFだった。
◆フェリーニの「8 1/2」のミュージカル版の映画化だが、全く別物と考えた方がいい。大物女優たちの「隠し芸大会」としては楽しめる(70点)
冒頭、主人公の映画監督グイド(ダニエル・デイ=ルイス)が撮影所で幻想を見る場面で、もう心を打たれてしまった。ニコール・キッドマンをはじめ、大物女優たちが次々と登場し、最後はイタリアの顔、ソフィア・ローレンである。老いてなお毅然とした(そして胸も大きい)ローレンを見ることが出来ただけで、本作の価値はあると思った。
◆人間と話が出来るモルモットが活躍するデジタル3Dのアクション映画。製作のジェリー・ブラッカイマーらしい、大味だが豪快な映像が楽しめる(66点)
完全に子供向けの話なのだが、子供が見て楽しいかどうかは微妙だ。主役のモルモットはリアル過ぎて余りかわいくない。実写とCGアニメーションの合成が巧み過ぎて、生き物の感じがしない。擬人化され過ぎているのだ。むしろ、大人の方が楽しめるかも知れない。製作はジェリー・ブラッカイマー。ストーリーは単純で大味だが、彼らしい豪快な映像を楽しめる。
◆少年少女の難病と恋愛を描く青春映画だが、映画ならではの叙述トリックが驚きの展開を見せる。(85点)
単なる少年少女の難病・恋愛を描いた青春映画だと思っていたら、びっくりさせられる。見事な叙述トリックが使われているのである。それが単に驚かせるだけでなく、クライマックスの感動につながっているのが素晴らしい。
◆「プロムナイト」をリメークしたネルソン・マコーミックが、今度は「Wステップファーザー」をリメークした。米国ではそれなりにヒットしたが、地味で日本では劇場未公開に。スリラーとしてはまずまずの出来(76点)
ホラーファンの間では知られている1987年公開のジョセフ・ルーベン監督作「Wステップファーザー」のリメークだ。2009年の米映画で、米国でそれなりにヒットしたにもかかわらず、日本では劇場未公開で、DVDのリリースのみとなってしまったサイコ・サスペンス。
◆実話を基にした、「山岳映画」の伝統を受け継ぐドイツ版「剱岳」。尤も、「剱岳」は一応登頂に成功するが、こちらは悲劇的な結末が待っている(71点)
ナチス政権下の1936年、ドイツ人の登山家、トニー・クルツ(ベンノ・フュルマン)とアンディ・ヒンターシュトイサー(フロリアン・ルーカス)の2人が、「殺人の壁」と呼ばれる前人未到のスイスの名峰アイガー北壁に挑む。アイガー北壁山麓の町クライネ・シャイデックには、2人の幼馴染みであり、ベルリン新聞社でアシスタントとして働いていたルイーゼ(ヨハンナ・ヴォカレク)も、上司と共に取材に訪れていた。絶好のコンディションを待って登攀を開始したトニーとアンディを、オーストリア隊の2人が追う。
◆地方の市民病院を一人の医師が変えていく医療ヒューマンドラマ。手術場面のリアルさと、堤真一の演技が素晴らしい(78点)
現職医師である大鐘稔彦の小説を「ミッドナイトイーグル」(2007)「ラブ・ファイト」(2008)の成島出が監督した、医療ヒューマンドラマ。地域医療の問題を真っ向から捉えて、実に見応えがあった。
◆江戸川乱歩の「芋虫」をモチーフにした、若松孝二監督らしいエロティックで幻想的、かつ政治的な反戦映画。戦場で四肢を失って帰ってきた男の妻を演じる寺島しのぶが、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した(80点)
主演の寺島しのぶが、ベルリン国際映画祭で日本人として35年ぶりに最優秀女優賞を受賞した話題作だ。監督はかつて、ピンク映画の巨匠と呼ばれ、その後も政治的な作品を発表し続ける若松孝二。本作も若松監督らしい、エロスと権力への怒り、反戦思想が結びついた奇怪で刺激的な作品だ。
◆大林宣彦監督の名作の続編。大林版へのリスペクトが随所に感じられ、世界観の踏襲に成功している(68点)
大林宣彦監督、原田知世主演の「時をかける少女」(1983)には、今も多くの熱狂的なファンがいる。名作と言っていいだろう。本作は、そのリメークではなく、続編である。かつて原田知世が演じた芳山和子(今回は安田成美)の子供、あかり(仲里依紗)が、母親の代わりに1974年にタイム・リープし、深町一夫(石丸幹二)を探す物語だ。
◆1972年スペイン製ホラーの米国編集版である。日本では未公開で、これまでソフト化もされていないという。余りの残酷描写に世界中で公開中止が相次ぎ、映画館では「嘔吐用パック」が配られたとされるが、今見ると、それほど過激な描写があるわけではない。だが、全体にどうにも奇妙な雰囲気が漂っていて、それが一種の「味」になっている(66点)
冒頭、精肉工場で牛から血がドクドクと流れる場面が、ドキュメンタリーのように映し出される。ここで何だか嫌な感じになるのだが、この「嫌な感じ」は、ラストまで続くことになる。工場で働く主人公マルコス(ヴィセンテ・パラ)は恋人とデート中、タクシー運転手とトラブルを起こし、つい殴ってしてしまう。後になって、運転手が死んだことを知った恋人が、主人公に自首を迫る。またしてもつい恋人を殺してしまった主人公は、さらについ兄を殺し、兄を探しに来た兄の恋人をつい殺し・・・・と、最初の殺人を隠すため、何となく成り行きで次々と殺人を重ねてしまう。そして死体の処分に困り、精肉工場の牛の肉に混ぜるようになる。
◆テレビドラマ「ライアーゲーム」の「映画化」というより「続編」。テレビと同じ演出で、「映画」を見た気にはならなかった(60点)
テレビ(ドラマ)と映画との違いは何か。正面から聞かれると困ってしまう。画面の大きさ、製作費、出演俳優、撮影時間、演出、画質・・・。違いはいろいろあるが、どれも絶対条件とは言えない。簡単のようで、実は大変難しい問題だと思う。
◆極北の映画人・山田誠二の現在(2010年3月)時点での代表作。江戸時代、西洋の吸血鬼と日本の妖怪、九ノ一たちの全面戦争という壮大なストーリーを、見事な「見立て」の力で描ききっている(65点)
山田誠二監督は極北の映画人といえるだろう。日本唯一の怪談映像専門プロダクションを主宰し、怪談映画や「必殺」シリーズの研究家、小説家、脚本家、コミック原作者、映像プロデューサーと様々な顔を持つ。その作風は非常にマニアック。子供じみたストーリーとチープな特殊効果で繰り広げられる残酷絵巻は、人によっては、あの“最低監督”エド・ウッドにちなみ、「日本のエド・ウッド」と呼ぶほどだ。
◆書籍の付録ながら、今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映された短編集。美女が次々と登場するのが楽しいが、中でも亥戸碧と中西絵里奈がいい(55点)
今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映された、極北の映画人・山田誠二監督の最新作だ。とはいえ、劇場公開用作品ではなく、DVDで販売されるものでもない。何と、書籍の付録なのだ。心霊スポットの紹介や実録怪談などを一冊にまとめた山田監督の著書「妖奇怪談全集」(ビジネス社)の付録として作られた短編6本で、1本が5分弱、全部で27分しかない。書籍の付録が国際映画祭で上映されるのは、初めてか、極めて稀なことだろう。