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20世紀少年<最終章>ぼくらの旗

◆「ともだち」の正体を含め、ラストは伏線をすべて回収してよく出来ている。昭和へのノスタルジーが胸を打つ3部作の最終章(69点)

20世紀少年<最終章>ぼくらの旗

© )1999,2006 浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 © 2009 映画「20世紀少年」製作委員会

 3部作ものは第2部が一番面白いと、いつも思う。「マトリックス」、「ロード・オブ・ザ・リング」、「スター・ウォーズ」、どのシリーズも第2部が良かった。1部では物語の世界観を提示しなければならず、3部では物語を終結させなければならない。ある程度、説明的にならざるを得ない。だが2部だけは、すでに提示された世界観の中で、その世界観を総括することなく、自由に物語を展開させることが出来るからだろう。

 最後に明かされる「ともだち」の正体が最大の興味で、そこが一番盛り上がるはずの「20世紀少年」3部作も例外ではなかった。点数にすると、第1部は74点、第2部は78点といったところ。本作には70点以上を付けることが出来ない。物語をまとめるための説明になってしまった場面が多く、映画としての生き生きとした面白さを失っていたように思う。

 ラストはほぼ予想通りだった。最初に「ともだち」の正体が明かされ、エンドクレジット後にもう一度、"本当の"正体が語られる。予想していたとは言え、これ以上の優れた結末があるとも思えない。これまでの伏線もうまく回収しているし、よく出来たラストではある。1部、2部でさんざん焦らされているので、どんな正体が明かされても、たぶん満足は出来なかっただろう。想像を超えた物凄い結末があるのではと、ほんの少しの期待はあったが、そこまでは行かなかった。

 「ともだち」の正体はともかく、世代的に「分かるなあ」と感じるエピソードが多かった。昭和へのノスタルジーが、テーマの一つになっている。大阪万博は当時、確かに未来への進歩を実感したイベントだった。「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」でもそうだったが、「ともだち」も昭和の町並み、昭和の暮らしを再現している。本作に登場する木造家屋にモノクロテレビのプロレス、カセットテープ、ラジカセ。すべて懐かしい。そして、万博のテーマソングだった、三波春夫の「世界の国からこんにちは」のパロディもあった。

 反政府組織が一斉蜂起の代わりにコンサートを開く、というのも分かる。かつて、コンサートが「反戦」や「平和」のメッセージをリアルに発信できた時代があったのだ。学校の校内放送でロックが流れる衝撃も納得だ。音楽が、ロックが、現在のように商品としてではなく、もっと特別な力を持っていた時代だった。

 マンガに対するこだわりも、ロックと同様、マンガがキャラクター商売に飲み込まれることなく、力を持っていた時代への憧憬だろう。豊川悦司が演じるオッチョと一緒に東京へ侵入するのはトキワ荘の漫画家だし、東京への関所を通り抜けるための「手形」を作るのも藤子不二雄がモデルの2人の漫画家だった。「サザエさん」も登場する。

 そして、オウム真理教事件。あり得ないことが次々に現実となる事件だった。もしオウム事件がなければ、本作も全くリアリティーを持ち得なかったと思われる。オウム事件があったからこそ、ウィルスでの大量殺人も洗脳施設も、妙な生々しさがあるのだ。昭和の「輝かしい未来」を打ち砕いたのが平成のオウム事件だとしたら、その先へ進むには、本作のように、バーチャル化、オタク化した「ともだち」の世界と戦わねばならないのだろう。もちろん、オウムもまた「輝かしい未来」の一つの帰結だ。だからこそ、万博に憧れた少年は、オウム的世界を作ろうとするのである。

 二足歩行型ロボットやアダムスキー型円盤のCGは、1作目の羽田空港や国会の爆破よりはよく出来ていたと思う。また、ロボットと主人公たちの戦いが、子供時代のケンカとシンクロしていくのも良かった。その一方で、ケンヂの仲間たちが開くコンサートに大観衆が一様に歌いながら集まってくる場面などは、まるで大観衆が洗脳されているようだった。これでは「ともだち」側の洗脳された人々と代わりがない。もっと別の演出をするべきだっただろう。

 3部作全体として見れば、昭和から平成へ、時代の気分の移り変わりを様々な象徴を駆使して描いたことで、評価できる作品だと思う。

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