◆韓国で初めての「株」をテーマにした作品という。仕手株を巡って、騙し騙される頭脳戦がテンポよく描かれている。韓流スターのパク・ヨンハが冴えない男を演じているのも見所だ(69点)
韓流スター、パク・ヨンハの7年ぶりの映画出演作。日本では歌手としてのイメージが強いが、元々は演技派なのだろう。「負け組」から勝ち上がろうとあがく、冴えないデイトレーダーの青年を好演して、実力を見せてくれた。
株で全財産を失ったカン・ヒョンス(パク・ヨンハ)。独学でデイトレーダーとしての腕を磨き、今度は株で大儲けするが、それが暴力団あがりの投資会社の仕手株だったため拉致されてしまう。投資会社の代表ファン・ジョング(パク・ヒスン)はヒョンスを仲間に、証券ブローカー(キム・ムヨル)や、金持ちの資産を管理する謎の女(ユ・ソヨン)らと組んで、仕手戦を仕掛けようとする。
仕手戦というと素人には難しそうだが、心配は要らない。株について全く知らなくても、十分に理解できて楽しめるのが、本作の優れた点だ。仕手戦の緊張感や、暴力団や政治家や謎の資金管理者が絡む人間模様がリアルに描かれていて興味深い。
そして、主演のパク・ヨンハをはじめ、パク・ヒスン、ユ・ソヨンらが、それぞれ役のキャラクターにピッタリはまっているのが見事。特にパク・ヨンハは、垢抜けないダメ男が株の世界で次第に成長していく姿を、実に巧みに演じている。ヨンハ・ファンには必見だろう。
イ・ホジェ監督はこれが長編デビュー作だが、テンポのいい演出で飽きさせない。デイトレーダー、ヤクザら株を巡る人間たちが、人生の「負け組」から「勝ち組」になろうとあがくという点も、今の日本の若者にも共感出来ると思う。
ただ、よく出来た Vシネを見ているようで、映画としてのスケール感に乏しい嫌いはある。世の中を巻き込んだ巨額の株式操作という話のスケール感が、映像として表現されていないのだ。そこは惜しいが、もちろん大きな欠点ではない。Vシネだって劇場用映画より面白いものはたくさんある。本作は十分に楽しめるエンタティンメントだと言っていい。
(小梶勝男)
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