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的映画批評

誰も守ってくれない Nobody to watch over me

◆是非、観ていただきたい!! (90点)

© 2009 フジテレビジョン 日本映画衛星放送 東宝

 いい。

 本当にいい映画だと思います。

 凶悪な犯罪が多発している現代。

 なぜ人の命をこうも簡単に奪うことができるのか・・・その理由も、全く理解できないようなことが増えている。

 「むしゃくしゃしてたから誰でもよかった・・・。」「相手が自分の思い通りにならないからやった・・・。」

 被害者はどうして命を奪われなければいけなかったのか。加害者はどうして命まで奪わなければいけなかったのか。

 得に被害者になんの落ち度もない場合、私たちは加害者の育った環境に原因を求めようとしてしまう。“人の命を奪うような人間(加害者)に育てた”と、いうことで・・・。

 そう考えてしまったことはないでしょうか・・・。

 加害者当人は、逮捕されれば警察に拘束。ある意味、社会からは守られる。

 しかし、加害者の家族はどうでしょう・・。

 加害者当人へぶつけられない、やり場のない憎悪を、「家族も同罪、連帯責任だ!」という理由をつけて、誹謗・中傷を世間やマスコミから一身に受けることになる。

 この作品では、そんな“加害者の家族”に視点をおき、加害者の妹を通して、“突然、自分が加害者の家族になってしまったら・・”という状況をものすごい臨場感で描いています。

 突如、何十人もの警察が家に入り、紙一枚をつき付け、息子を連行、逮捕。

 何がなんだかわからないままとり残される家族。

 家の前には群がるマスコミと野次馬。

 目を開けてはいられない程に炊かれるカメラのフラッシュ。

 鳴り響く中傷の電話。

 外からの罵声。

 そんな世間の目やマスコミから加害者を保護するという目的で、事務的に告げられ、行われる“加害者の家族保護”という警察の行動。

 何が起こっているのか把握する間もない。ただただぼーぜんとしている間に、家族は名前を変えられ、バラバラにされ、自由を奪われた。

 連日続くマスコミの執拗な取材と過剰な報道。加えて現代社会ならではの歯止めが効かないネット上でのすさまじい誹謗・中傷。恐ろしいほどに早い情報の漏洩。

 自らが犯した罪ではないのに突如として背負わされた過酷な状況。“加害者の家族”として、若干15歳の少女を襲った現実のすさまじさに、ひどく胸が痛んだ。

 加害者の家族にも本当に罪はあるのか、責任はどこまであるのか、いや・・家族もまた被害者と言えるのではないか・・・。

 少女を保護するという立場に立った刑事の視点からも、今まで気づいていなかった、無意識に気づこうとしていなかった・・(?)その思い、考えに少しづつ気づかされ、考えさせられる。

 事件に対して興味本位で報道を見てしまっていたこと、当事者の本当の家庭環境なんか知りもしないのに、事件の原因はそこにあるのではないかと簡単に勝手な憶測をしてしまっていたこと・・・

 そんな今までの自分にチクチクとした罪悪感のようなものを感じずにはいられなかった。

 しかし、被害者と被害者の残された家族のことを思うと・・・。

 この作品でも、完全に“加害者の家族”に同情を促すというようなものではなく、“被害者の家族”にもしっかりと焦点を合わせており、その場面では“被害者の家族”が、加害者はもちろん、“加害者の家族”に対しても抱く、当然の思いにもまた、心が引き裂かれるような気持ちになる。

 さらに、「被害者は守れなかったのに、警察はどうして加害者の家族は守るんだ!」という、被害者側の立場から見た、加害者家族の保護の必要性を問う、警察に対する怒りの思いも・・。

 加害者当人にぶつけることのできない煮えたぎるような思いは一体どこへぶつければいいのか・・。

 映画の中でもこれは一つの大きな問題として提示されています。

 ただ言えるのは、被害者側も加害者側も残された家族には痛み、苦しみ、恨み・・そんな思いばかりしかないということ。

 おざなりな言葉でしか表現できず悔しいですが、「悲劇は悲劇しか生まない。」

 そのとおりだと思いました。

 そんな終始重たい内容で、主人公の少女、被害者の家族同様、絶望を感じながら、この映画のラストもこのまま、暗闇を突っ切るのかと思ったのですが、

 柳場さん演じる被害者遺族の台詞でラストは一気に光を帯びます。

 ラストはじわじわとくる暖かな感動に包まれます。

 加えて、主題歌であるリベラの「あなたがいるから」が流れ始めると、なんとも言えぬ気分に浸りました。

 ラストはかなり急展開であったものの、そう違和感もなく、ものすごく重い内容であったはずなのに、

 何故かすごく暖かで少し爽やかな気持ちになる、不思議なラストでした。

 しかし、この作品で加害者の家族の妹、その子を保護する刑事、被害者の家族、それぞれの台詞は、それぞれの場面で、ずっしりと重く心に残るものがあり、今までに観たどの映画よりもそのインパクトは強いものでした。

 自分が犯した罪がどんな結果を相手に、相手の家族に、そして自分の大切な家族にも与えてしまうのか。。

 観た人にはしっかりと目に胸に焼きつけて欲しい。

 多少の犯罪の抑止力になる作品かもしれない、その期待も込めて、より多くの人に観てもらいたいと思いました。

 今回は、“よろしければ”ではなく、“是非”観ていただきたい作品です。

 付け加えて、『手紙』をご覧になったか本で読まれた方は、合わせていろいろな思いとともに考えさせられることと思います。

 コチラはよろしければですが、合わせてご覧ください。

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