お買いもの中毒な私! - 町田敦夫

◆アイラ・フィッシャーの突き抜けたコメディエンヌぶりが「買い」(70点)

 アン・ハサウェイ主演の『プラダを着た悪魔』は、硬派なジャーナリスト志望の女の子がファッション雑誌に配属されて……というコメディだったが、『お買いもの中毒な私!』はその逆パターン。「お買いもの命」のレベッカはファッション雑誌への就職を狙うも、手違いからお堅い経済誌に採用される。チンプンカンプンの経済用語をネットで調べながら書きあげた記事は、しかし消費者の心理をとらえていると編集長から高評価。しかもよく見ると、この編集長、わりとハンサムで……。

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セブンティーン・アゲイン - 町田敦夫

◆ザック・エフロンが“37歳の高校生”に変貌(70点)

 『ハイスクール・ミュージカル』『ヘアスプレー』で大ブレイクしたザック・エフロンがミュージカルではない作品に初トライ。歌やダンスのシーンなしでも旬のスターのオーラはいささかも色あせず、作品自体のデキの良さも相まって、全米では公開第1週にトップに躍り出た。

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ウォーロード/男たちの誓い - 町田敦夫

◆ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武が夢の競演(70点)

 昨年公開された『レッドクリフ PartI』が、興収50億円を超える意外なメガヒットになったことは記憶に新しい。今年4月に封切られた後編もオープニングは好調のようだ。だが、あえて言おう。総花的な『レッドクリフ』より、主要なキャラクターを絞りこんだ『ウォーロード/男たちの誓い』の方が、実は格段に面白い。

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デュプリシティ ?スパイは、スパイに嘘をつく? - 町田敦夫

◆だまされるのを楽しみたい、トニー・ギルロイのソフィスティケートされた罠(70点)

 劇中で交わされるほとんどの会話は、話し手が聞き手に聞かせるためのウソ、または話し手と聞き手が第三者に聞かせるためのウソ、あるいは映画の作り手が観客に聞かせるためのウソ。『デュプリシティ スパイは、スパイに嘘をつく』は、企業犯罪映画に大人の恋のスパイスをまぶした、ハイセンスなサスペンスコメディである。

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ビバリーヒルズ・チワワ - 町田敦夫

◆単なる動物映画を超えるデキだが、あざといCGはビミョー(80点)

 「子供と動物には勝てない」というのは映画界の通説。あどけない子供や、愛くるしい愛玩動物がスクリーンに映ろうものなら、たちまち観客は相好を崩す。ただ、子供や動物のかわいさだけで客が呼べる映画というのは、往々にしてキャラクターは平板、ストーリーはグズグズという代物になりがちだ。『ビバリーヒルズ・チワワ』は、その点、2つの意味で「動物映画」ではない。

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グラン・トリノ - 町田敦夫

◆イーストウッドの「いじわるじいさん」が下す勇気ある決断(80点)

 息子や嫁に遠慮会釈なく憎まれ口を叩く。孫娘のへそピアスに不機嫌なうなり声を上げる。イタリア系の床屋と口汚く罵り合う。『グラン・トリノ』でクリント・イーストウッドが演じるのは、そんなポーランド系の偏屈ジジイ、コワルスキーの役だ。この「いじわるばあさん」ならぬアメリカ版「いじわるじいさん」の描き方がユーモラスで、起承転結の「起」の部分はクスクス笑い通し。コワルスキーは隣家のアジア系移民にも胡乱(うろん)な目を向けるが、ふとしたきっかけでその家の姉弟、スーとタオを救うことになり、思いもかけない交流が始まっていく。

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スラムドッグ$ミリオネア - 町田敦夫

◆生命力と一途な愛、インド的なるものと普遍なるものをバランスさせたダニー・ボイルの最高傑作(90点)

 ご存じ、アカデミー賞作品賞を初め、昨年の各種映画賞を総なめにした快作だ。インドで人気のクイズ番組に出場した青年ジャマールは、残り1問で大金を手にするところまでこぎ着けながら、不正を疑われて逮捕される。スラム出身の負け犬(=スラムドッグ)は、なぜ次々と難問に答えられたのか。そして何のために全問正解しなければならなかったのか……。

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アライブ-生還者- - 町田敦夫

◆墜落事故の生還者、72日間に渡る極限の記録(70点)

 ウルグアイを飛び立ったチャーター機がアンデス山中に墜落。生き残った者たちが人肉を食べて72日間を生き抜いたという1972年のニュースは、当時の世界に衝撃を与え、イーサン・ホークの主演映画『生きてこそ』(93)の題材ともなった。本作は50代を迎えた生還者たちや、当時の救助関係者へのインタビューを通じ、現場で何が起きたのかを改めて伝えようと試みたドキュメンタリーだ。

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ザ・バンク 堕ちた巨像 - 町田敦夫

◆グッゲンハイム美術館での壮絶な銃撃戦に興奮!(70点)

 『パフューム ある人殺しの物語』(06)のトム・ティクヴァ監督が、不正な手段で巨利をむさぼる巨大銀行と、その摘発に人生をかけたインターポール捜査官との攻防を描いたクライム・サスペンス。複雑でわかりにくい経済事犯ではなく、古典的な謀略と暗殺の物語に徹した構成が成功し、緊迫感あふれる一作に仕上がった。インターポール捜査官のサリンジャー(クライブ・オーウェン)は、ニューヨーク検事局のホイットマン(ナオミ・ワッツ)の協力を得てIBBC銀行の不正を暴こうとするが、重要証人や捜査官が次々と殺害されて……。

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フロスト×ニクソン - 町田敦夫

◆ニクソンとテレビ司会者の起死回生を欠けた大勝負(70点)

 ジョージ・W・ブッシュが登場する以前、最も不人気な米国大統領といえば、それはリチャード・ニクソンのことだった。なんたって米国史上初めて弾劾裁判にかけられ、辞任を余儀なくされた大統領だったのだから。そのニクソンが表舞台への復帰を狙って出演した1977年のテレビインタビューは、4500万人もの視聴者を集めたという。インタビュアーを務めたデビッド・フロストはコメディアン上がりのテレビ司会者で、こちらも人気の先細り感に焦りを抱えていた。『フロスト×ニクソン』は、そんな2人がそれぞれの起死回生をかけて臨んだ伝説のインタビュー番組と、その舞台裏で繰り広げられる虚々実々のかけひきを描いた実録のドラマだ。

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ワルキューレ - 町田敦夫

◆トム・クルーズがナチスの反逆のヒーローに(60点)

 ナチスが権勢を振るった第2次世界大戦期にも、ドイツ国内には秘かにその政権転覆を謀る勢力が存在したという。『ワルキューレ』は彼らが実際に決行したヒトラー暗殺作戦を、『ユージュアル・サスペクツ』の監督&脚本コンビが克明に映画化した政治サスペンスだ。

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リリィ、はちみつ色の秘密 - 町田敦夫

◆ダコタの成長物語がオバマの登場とシンクロ(70点)

 人種差別が色濃く残る1960年代の米国南部を舞台に、心に傷を抱えた少女リリィの、ひと夏の冒険と成長を描いた感動作だ。白人女性作家スー・モンク・キッドの処女長編を、黒人女性監督のジーナ・プリンス=バイスウッドが脚色。かつての“神童”ダコタ・ファニングが実年齢と同じ14歳のヒロインに扮し、この年齢層特有の不安定な立場や鬱屈した心情を体現してみせる。

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映画は映画だ - 町田敦夫

◆映画界を舞台にしたキム・ギドク原案のメタフィクション(80点)

 韓流ブームが去ったと言われて久しい。確かにひと頃のヨン様やイ・ビョンホンに匹敵するような人気者は、さすがに日本では生まれなくなった。だが、ストーリーを生み出す力に関して言えば、韓国映画界にはまだまだ底知れぬポテンシャルが隠されているように思う。それを実感させてくれるのが、たとえばこの『映画は映画だ』のような作品だ。

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チェンジリング - 町田敦夫

◆アンジェリーナ・ジョリーが不屈の母性愛を熱演(70点)

 母ひとり子ひとりの家庭から9歳の息子が姿を消し、母親は眠れぬ日々を過ごす。5ヵ月後、警察から息子が発見されたとの報が入るが、名乗り出てきた子供は明らかに別人で……。1928年に実際に起きた事件を元にした、クリント・イーストウッド監督の入魂作だ。不屈の母性愛を見せたアンジェリーナ・ジョリーは、本作でアカデミー賞主演女優賞へのノミネートを勝ち取った。当時の町並みや衣装が見事に再現されているのにも驚く(20年代の実物を見たことはないのだけれど)。

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7つの贈り物 - 町田敦夫

◆ウィル・スミスが究極の贖罪を敢行(70点)

 通販会社の電話オペレーターとして働く盲人にしつこくクレームをつける。入居者を虐待する老人ホームの経営者に、「お前には、やらない!」と謎の言葉をぶつける。『7つの贈り物』は、主人公のこんなシーンから幕を開ける。どうやら彼は「いい人間」を探しているらしい。でも、いったいなぜ?――と思った時点で、あなたは作り手の術中にはまっている。

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