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反恋愛主義 - 町田敦夫

◆ハンガリー製ロマコメはハリウッド映画以上にハリウッド的(70点)

 昨今のような不況下ではオトコもオンナもなかなかリスクを抱えづらいが、景気のよかった時代には「男はいらない、子供だけ欲しい」なんてことを言うキャリアウーマンが、(本音かどうかは別にして)筆者の回りにもけっこういた。『反恋愛主義』のヒロイン、ドラもそんな三十代独身のひとり。劇団の脚本家としての仕事は順調だが、信じた男には妻子のいることが発覚。もはやオトコには期待すまいと心に決めた彼女は、せめて子どもを持ちたいと、出会い系サイトにこんな広告を出す。「セックスのパートナー求む。ただしセックス以上はお断り」

 日本で公開されることのあまりないハンガリー映画だが、印象としてはハリウッドのロマコメ以上にハリウッド的。監督・脚本のクリスティナ・ゴダが英米の映像業界で修行を積んだからなのか、民主化したハンガリー人の生活が実際に英米と差のないものになっているからなのかは定かではないが、とにかくウェルメイドなコメディであることは間違いない。縦横に張り巡らされた伏線から芋づる式に派生するジョーク、ソフィスティケートされたセリフ、個性豊かで愛すべきキャラクター。電灯の点滅具合でセックスの進行を表現する類の映像技巧は、往年のスクリューボールコメディの趣だ。ハンガリー語のやり取りは一言もわからないけど、いつしかドラをはじめとする登場人物たちが身近な存在に思えてくる(出会い系サイトの相手に日本人が混じっているのはご愛敬)。

 ドラを演じたユディット・シェルの、本音で生きてる“アラサー”ぶりが魅力的。顔立ちが日本人好みなのも好感度大だ。彼女と恋のかけひきを演じるプレイボーイが、実は意外に誠実で……という展開も、女性客の「ツボ」を刺激するはず。ストーリー自体に目新しさはないが、とにかく料理の仕方がうまいから、安心してデート映画のオプションにもできる。束の間、不景気な浮き世を忘れ、エンディングのNG集までたっぷりと笑おう。

町田敦夫

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