◆おふざけにどこまでノレるか、スティラーの映画は人を選ぶ (60点)
曲者ベン・スティラーが製作、監督、脚本、主演をこなし、ハリウッドの舞台裏を茶化したコメディ映画。落ち目のアクションスターのタグ(スティラー)、下品なコメディアンのジェフ(ジャック・ブラック)、黒人風に整形までしたやりすぎ演技派俳優のカーク(ロバート・ダウニー・Jr.)といった面々が、戦争映画の撮影中に、麻薬組織の支配するジャングルに置き去りにされ……。
主要な登場人物の3人が3人とも、実在の有名俳優を微妙にからかうキャラになっているのが最初のくすぐり。劇中には様々な戦争映画のパロディシーンが盛りこまれるほか、登場人物同士が交わす有名映画のうんちく話がまたおかしい。『アイ・アム・サム』(01)のショーン・ペンがなぜオスカーを取れなかったかを分析したカークのセリフなどは、なかなかの慧眼かも。
スティラーのコメディ・センスはもともと人を選ぶのだが、出演者に有名俳優が増えた本作も、『ドッジボール』(04)や『ズーランダー』(01)と笑いの本質は変わらない。差別ネタは続出するが、ファレリー兄弟のような弱者に向けた視線の暖かさは皆無。ジャングルでサバイバルする中でキャラクターはそれぞれ“変化”を経験するけれど、名作『ギャラクシー・クエスト』(99)のように“成長”していくことはない。これが良くも悪くもスティラーの持ち味であり、限界でもあるわけだ。
だが、期待しないで観ればそこそこ楽しめるのも事実。麻薬組織に捕まったタグを救出する最後の戦闘シーンなどは、コメディ映画の範疇を超えた迫力だ。劇中に登場する監督、プロデューサー、エージェント、原作者らは、いずれ劣らぬダメ男ばかりで、どれほどハリウッドの実態を反映しているのかと下世話な興味が湧いてくる。ノークレジットで出演したトム・クルーズのメイクは相当な傑作。もしかすると見終わっても彼がどこに出ていたのかわからなかったという観客が、20人に1人ぐらいはいるんじゃないかしらん。





























