首吊り、毒殺、ひき逃げ・・・。連続予告殺人犯を追って2人の特命係の刑事が奔走する。そして最大のターゲットは3万人が走るという東京マラソン。犯人グループと刑事の虚虚実実の駆け引きとチェスを介在した頭脳戦、ひとつの謎を解くとまた次のハードルが待ち構えているという二重三重のトリック、意外な真犯人と葬られた事件の真相。映画はミステリーとアクションを程よく調合し、なおかつ自己満足で動くボランティアやマスコミの身勝手さに警告を発する。
相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン - 福本次郎
さよなら。いつかわかること - 渡まち子
イラク戦争を新しい視点から扱った意欲作。戦争で、父ではなく、母親を亡くした家族の再生の物語だ。考えれば女性兵士もいるわけでこういうケースもありなのだ。父娘のロード・ムービーにしたことで心の変化が繊細に感じ取れる。好青年のイメージのキューザックが体重増加して静かな熱演。亡き妻の声を求めて留守電を聞き、語りかける姿が切ない。自作以外に初めて曲を提供したイーストウッドの美しいメロディが物語に寄り添って、涙を誘う。
紀元前1万年 - 福本次郎
数百頭のマンモスが地響きを上げて暴走し、巨大な肉食怪鳥がうなりをあげて襲ってくる。さらに雲に届かんとする建築中のピラミッドのために石を引く無数の奴隷。ヴィジュアルとサウンドにふんだんにカネをかけ、12000年前の人間と自然、そして失われた高度な文明をスクリーンに再現する。そこで展開するのは、旅に出た血気盛んな若者が仲間を得、やがて自分の使命と運命を自覚して偉業を成し遂げるという典型的な英雄譚。つまり年代を限定する意味はなく、タイトルは単なるファンタジー映画の記号に過ぎない。
あの空をおぼえてる - 福本次郎
愛し合っていた一家の幼い妹が不慮の死を遂げたとき、彼女の両親は喪失感から立ち直れず、兄はそれを受け入れられない。悲しみはみな同じなのに、落ち込んだ両親を励まそうと妹の代わりになって寒々とした食卓を元気付けようとする小学生の兄の姿が痛ましい。深く沈みこんだ現在と明るさにあふれていた過去の対比の中で、時間だけが切り裂かれた心を癒していく。ただ、幸せだったころの記憶は、作り物めいたエピソードと過剰な笑い声に彩られ、見ているほうが恥ずかしくなる。もう少しまともな脚本はできなかったのか。
少林少女 - 福本次郎
とりあえず柴咲コウに中国武術のアクションをやらせてみました、といった安易な企画のもとに、テレビ局の資金力・宣伝力を背景に作り上げた壮大な失敗作だ。まあ、「少林サッカー」をラクロスに変えただけでは二番煎じといわれても仕方なく、せっかくの素材を生かすことができず、継ぎ足しに継ぎ足しを重ねたストーリーは完全に統一を欠いている。荒唐無稽にするにも、感情面でのディテールやリアリティをもっと大切にするべきだろう。ブルース・リーを冒涜していることがいちばん許せなかった。
軍鶏 Shamo - 渡まち子
橋本以蔵原作の人気コミックの映画化は、日本、香港、中国、台湾などの空気がミックスされて、さながら無国籍アジア映画という感じだ。裕福な家庭の少年が両親を殺害、少年院でファイターとして生まれ変わる。香港の三池崇史ことソイ・チェンらしく格闘シーンの暴力描写は、かなり強烈だ。行方不明の妹に関する秘密が最後の驚きだが、妹発見が安直すぎるのが肩透かし。繊細なイメージのショーン・ユーの過激なブチ切れ演技は新鮮だった。
88ミニッツ - 渡まち子
題名の88分は主人公が犯人に宣告された“死ぬまでの残り時間”。異常犯罪分析医が、正体不明の殺人犯から脅迫されながら真相を追うクライム・サスペンスだ。名優パチーノが主演すべき作品か?と疑いたくなるB級風味な印象は、リアルタイム・サスペンスにしては凝りすぎたことが原因。主人公の周囲をやたらと美女が固めてハーレム状態なのだが、全員が怪しいのなら人数を減らすべき。パチーノはよれよれ状態でもさすがの存在感だ。
BABY MAMA - 岡本太陽
近年アメリカでは妊娠・出産をテーマにした映画が多く制作されており、特にシングルマザーや、未婚での出産等を描くものをよく見かける。その流れに乗っ取りまた新しい妊娠・出産がテーマの映画が公開された。『BABY MAMA』と呼ばれるその映画は、代理出産という今までに見られなかった新しい題材を基に作られた異色作だ。
砂時計 - 渡まち子
TVは主婦向けの昼ドラだが映画は青春ものの趣。島根と東京を舞台に、男女4人の幼馴染の12年間に及ぶ恋の行方を描く。もはや韓流風味のメロドラマも飽きられている。エピソードをこれだけ削るなら、いっそ10代にしぼった話にしたほうが良かったのでは。ヒロインの少女時代を演じる夏帆が出色で存在感は群を抜くので、きっと新鮮な物語になっただろう。劇中に登場する原作ファンの聖地、仁摩サンドスタジアムが印象的だ。
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド - 福本次郎
静謐な映像から一転して神経をかきむしるような高音を弦楽器が奏でる、それは主人公の満たされぬ強欲の象徴だ。小さな成功では飽き足らず、さらに大きな結果を望む。その見返りに得たものは究極の孤独。目的のためなら家族でさえ犠牲にし、価値がなくなったらあっさりと切り捨てるこの男の前では、神すら利用できる要素のひとつに過ぎない。映画は石油に取り付かれた男の前半生を通じて、欲望こそが人間をつき動かす重要な動機であることを描く。
NEXT -ネクスト- - 福本次郎
自分に関する出来事の2分先を予知し、未来を変えることができる男。彼にとって未来は確定した運命ではなく、選択することでよりよい結果を得ることができるのだ。それゆえにその能力を悪用しようとする人間たちから身を守るために人目を忍んで生きている。公にはできず、かといって他に才能はない。主人公が細々とマジシャンとして生計を立てているといううらぶれた現実が悲しい。ならば、彼が超能力のせいで普通の暮らしができなかったというトラウマをもう少し描いてほしかった。
相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン - 渡まち子
劇場版らしいスケールはあるが、馴れ合いムードが漂う作品。人気TVドラマのファンにこそ楽しんでもらおうという気遣いだろう。頭脳派と行動派の刑事コンビが、東京都心で行われる大規模なマラソン大会に仕掛けられた爆破事件に挑む。政界の思惑や犯人の意外な動機は説得力があるが、チェスを使った駆け引きがクドいのでテンポを損ねるのが惜しい。これでは犯人も警察も悠長すぎる。とりあえず久々に映画に戻った水谷豊を楽しもう。
XYZマーダーズ - 佐々木貴之
◆スピード感と勢いを感じさせる展開は観る者を一気に楽しませてくれる。(70点)
今では『スパイダーマン』シリーズで知られているサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』(85)に続く監督第二弾作品。
靖国 YASUKUNI - 前田有一
右翼勢力の妨害行動により一部の映画館が上映を取りやめた件で、「表現の自由の危機」うんぬんを語り大騒ぎしている団体・メディア等は、表現の自由というものを根本的に勘違いしている上、問題の本質について不理解あるいは意図的に隠そうとしている。


















