パーク アンド ラブホテル - 渡まち子

ぶっきらぼうで静かな作品。(65点)

 汚れた日常の上のファンタジー。ホテルの屋上の公園とは、そんな異空間だ。寂れたラブホテルの女性オーナーと、3人の女性との交流を静かに描く物語。PFF出身の熊坂出監督は、セリフと表情を最低限に抑えて、登場人物の心の傷を見つめている。りりィ演じる、無愛想だが情にあつい主人公の、人との距離感が独特でいい。08年ベルリン映画祭最優秀新人作品賞と聞くと大仰だが、ぶっきらぼうで静かな作品。でも確かな個性を持っている。

スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー - 渡まち子

かなりビターなドラマだ。(60点)

 ロイ・アンダーソン監督のデビュー作は1969年製作で北欧版「小さな恋のメロディ」と呼ばれているが、実際はかなりビターなドラマだ。初公開時の邦題は「純愛日記」。15歳のペールと14歳のアニカの初恋は瑞々しいが、並行して描かれる周囲の病んだ大人たちの描写が痛々しい。少年たちもやがてこんな大人になるのかと、もの哀しさが漂う。「ベニスに死す」の美少年ビョルン・アンドレセンが端役で映画デビューしているのでファンは必見だ。

アイアンマン - 岡本太陽

記録的大ヒット中の夏の超大作第1弾!主演のロバート・ダウニー・Jr.に注目!(80点)

 今年の夏はスーパーヒーロー達が活躍しまくる。しかもほとんどが続編。『バットマンダークナイト』『インクレディブル・ハルク』『ヘルボーイ:ゴールデンアーミー』と期待作が目白押しなのだが、その中でもひと際異彩を放っているのが『アイアンマン(原題:IRON MAN)』。そう、この作品だけが続編ではない目新しい作品なのだ。アメリカのサマームービー第1弾のこの映画は出だしから好調で、公開された週末だけでも興行収入1億ドルを叩きだしている。すでに続編の制作も決まったそうだ。

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あの空をおぼえてる - 渡まち子

死という重い設定が演出の腕を鈍らせたか。(45点)

 テーマは愛する者の喪失と家族の再生。娘の絵里奈を事故で亡くし立ち直れない父親と、両親を元気付けようと奮闘する息子の繊細な思いを描く。在りし日の絵里奈の明るさが過剰すぎて白々しさが漂うのが難点。冨樫森監督は子供を描くのが上手いのに、死という重い設定が演出の腕を鈍らせたか。オルフェウスの挿話も活きてない。何より展開が冗長でテンポが悪い。唯一、新しい命を宿した母親が強くあろうと懸命な姿に説得力があった。

モンテーニュ通りのカフェ - 渡まち子

主演のセシール・ド・フランスの軽やかな存在が物語をフワフワと楽しいものにしている。(60点)

 パリ屈指の贅沢な地区のカフェを舞台にした人生模様は、文化の国フランスの香りが漂う小品だ。大人の群像劇は会話が魅力である。パリに憧れ、カフェのギャルソンになったジェシカが出会うのは、著名ピアニスト、美術収集家、人気女優などセレブな人々。主演のセシール・ド・フランスの軽やかな存在が物語をフワフワと楽しいものにしている。米人監督シドニー・ポラックも出演。俳優としても活躍する人だが仏映画に顔を見せるのは珍しい。

ザ・フィースト - 佐々木貴之

◆スリリングでテンポもすこぶる良い。(75点)

 ベン・アフレック、マット・デイモン、ウェス・クレイヴンというハリウッドの人気スターと若手スタッフたちが送り出すスプラッター・ホラー作品。

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フローズン・タイム - 渡まち子

物語より映像美が記憶に残る小品。(65点)

 一流フォトグラファーの初長編監督作らしく、物語より映像美が記憶に残る小品。失恋の痛手から不眠症になった美大生が新たな恋に出会う物語だ。一瞬時間を止めて周囲を観察し、絵を描くという設定がユニークだが、フリーズのタイミングに統一感がないのが残念。夢と現実、美と醜悪が混じり合うのは、主人公が起きたまま夢を見ているという意味だ。映像センスは抜群で、ヌードもどこかアートのよう。特にラストシーンの美しさには息をのむ。

寝取られ男のラブ♂バカンス - 岡本太陽

ジャド・アパトウが放つ唖然とする”珍”ロマンティックコメディ。(75点)

© 2007 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 現在アメリカのコメディ映画界はジャド・アパトウ・ファミリーが席巻しているのだが、この春、新しいジャド・アパトウ製作による映画が誕生した。『寝取られ男のラブ♂バカンス(原題:FORGETTING SARAH MARSHALL)』というその新作はアパトウ氏が監督した大ヒット作『40歳の童貞男』や『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』の様なロマンティックコメディに仕上がっている。2007年にアパトウ氏は『スーパーバッド 童貞ウォーズ』という男性器の落書きが登場するおバカ童貞映画をプロデュースしたが、今回の『寝取られ男のラブ♂バカンス』はそれをある意味上回るチン映画なのである。

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愛おしき隣人 - 渡まち子

ラストは唐突だが、監督なりの反戦メッセージだろう。(65点)

 確固たる自分の世界を持っている映画人とはロイ・アンダーソン監督のことだ。北欧のシケた街に住むシケた人々の、普通なのにヘンな日々を淡々とスケッチする。頑張って生きてるのにツイてない。そんな彼らに、ラストオーダーで「明日があるよ」と声をかけるバーテンダーの優しさが心に染みる。起承転結などもちろんなく、もしや夢かも?とさえ思える物語が妙に気になってしまう。ラストは唐突だが、監督なりの反戦メッセージだろう。

アイム・ノット・ゼア - 渡まち子

ここまで個性的でシュールな伝記映画は珍しい。(75点)

 ここまで個性的でシュールな伝記映画は珍しい。現役のトップ・ミュージシャン、ボブ・ディランを、人種、年齢、性別までもバラバラの6人の俳優が演じ分ける。これはディランの多面性の表現形態だ。6人全員が名演だが紅一点のブランシェットの存在感は群を抜く。ただ役名や時系列もバラバラなので非常に難解で手強い作品なのは確か。ディランの歩みを予習しておくと多少は判りやすいが、この個性にただ身をゆだねるのもお勧めの映画体験だ。

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS - 前田有一

黒澤明の名作を、長澤まさみ&ジャニーズ松本潤主演でリメイク(10点)

© 2008『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』製作委員会

 『隠し砦の三悪人』は黒澤明監督がのこした数々の傑作の中でも、特に「ファンに愛されている」作品ではないか。そんな、一定の年齢以上の日本人にとって大切な宝物のような映画作品のリメイクに、樋口真嗣(ひぐちしんじ)監督は『THE LAST PRINCESS』(ざ・らすとぷりんせす)というイカすタイトルをつけた。そのカッコよさはまるでポケモン映画のよう。思わず涙が出る。

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ミスト - 前田有一

スティーブン・キングの原作を変更、凌駕した大傑作(90点)
ミスト

© 2007 The Weinstein Company

 フランク・ダラボン監督とスティーヴン・キング原作のコンビには、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」という傑作がある。鬼門とさえ言われるほど難しいキング作品の映画化を、ほとんど唯一成功させているのがこの監督なのだ。だから、ファンに人気の中篇『霧』をフランク・ダラボンが手がけたのはある意味必然。そしてその期待に彼は、三たび完璧にこたえた。映画『ミスト』は、必見の衝撃作である。

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ハンティング・パーティ - 前田有一

ジャーナリスト3人が踏み込んだ先は……(60点)

© 2007 IM Filmproduktions GmbH All Rights Reserved

 チベット問題について一貫して中国批判の態度をとり、積極的に発言もしているリチャード・ギアの日本最新作は、その社会派としての面を強調する作品となった。

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P2 - 前田有一

OL必見のオフィスビル内閉じ込めサスペンス(70点)
P2

 外敵をシャットアウトする鉄壁のセキュリティの内側に犯人がいた場合、ガードの強さはそのまま脱出の困難さに変貌する。『P2』は、その防犯設備があだとなり、勤め先のビルに閉じ込められてしまう哀れな女の子の話だ。

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ひぐらしのなく頃に - 前田有一

大ヒット同人ゲームがついに映画化(10点)

 爆発的人気を誇る原作の同人ゲームを未プレイのままこの実写版を見た私は、終映後になってもいったいこの話の何が面白いのか、さっぱりわからなかった。「いや、コレから初めて原作全部(ゲーム8本)やれば面白いんですよ」と映画会社の人はいうが、それならゲームだけやればいいじゃないかと正直思った。

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