日本が誇る才能、井口昇。AV映画監督としてキャリアをスタートさせた彼は2003年の『恋する幼虫』で一般的にもそのカリスマ性が知られる様になった。その彼が北米向けに製作した映画『片腕マシンガール(英題:THE MACHINE GIRL)』が現在話題を呼んでいる。この作品は日本よりも先に、過激な日本映画を輸入していることで有名なビデオメーカー・FEVER DREAMSからアメリカでDVDが発売されたのだが、このとんでもない映画が逆輸入という形で日本で公開を迎える。
片腕マシンガール - 岡本太陽
世界で一番美しい夜 - 渡まち子
現実と幻想が入り混じるこの映画は、愛と生命と性の寓話だ。スクープを狙う新聞記者のカズヤは、奇妙な村で不思議な力を持つ美女に出会う。出生率日本一の謎を回想形式で描くが、個性的なアニメを効果的に用いてまったく飽きさせない。セックスで革命を起こすとは突拍子もない話だが、戦争をしないためには欲望の基準を下げて原始に戻るという発想はイケている。エロスとユーモアが混濁する作風は父・今村昌平を連想させるものだ。
スピード・レーサー - 福本次郎
実写とCGを巧みに合成させ、ポップな色調で彩られた映像と爆音とどろくサウンドで、目くるめくような加速感を観客に体感させようという試みは見事に失敗している。薄っぺらな紙芝居を見ているような奥行きのなさは、まだゲーセンのドライブマシンに乗っているほうがマシと思えるくらいのできばえで、手に汗握る興奮とは程遠い。もともとは日本の古いアニメを今頃中途半端に映画化した意図はどこにあるのだろう。どうせハリウッドで製作するのなら、もっとリアルな臨場感を追求して、他には絶対にまねのできないものを作ってほしかった。
ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!- - 福本次郎
催涙弾や実弾が飛び交うポリスアクションと古い村に隠された悪意を暴くミステリーを融合させ、そこにマヌケなキャラクターがドジを連発して笑いを取ろうとする。映画的な要素が盛りだくさんで期待させられるのだが、どのシークエンスも消化不良で中途半端。まるで、見た目は華やかなご馳走が勢ぞろいしているけれどおいしいものは何もないファミレスのメニューのようだ。各々のエピソードが意外なところでハズすようなオチで肩透かしを食わそうという意図はよく分るのだが、結局策におぼれて自滅している。
GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0 - 渡まち子
名作アニメのリニューアルは、映像と音響、キーパーソンの人形使いの声優の変更が主なものだ。近未来、天才ハッカーと特殊部隊公安9課の攻防を描く。映像のにじみは気になるものの、サウンドは大幅に迫力を増している。同一人物が海中では3D、海上が2Dという違和感を伴う3Dの導入は実験的なものだろうか。それでも人の存在意義を問うこの作品は傑作で、劇場で鑑賞できる喜びは大きい。人形使いは家弓家正の声の方が好みだが。
アメリカばんざい crazy as usual - 佐々木貴之
◆悲惨かつ恐ろしすぎる実態の数々には酷く驚愕させられる(65点)
若いイラク戦争帰還兵の姿と、国家に従順な新兵を育成するブートキャンプにスポットを当てたドキュメンタリー作品。
ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌 - スタッフ古庄
GONZO:The Life and Work of Dr. Hunter S. Thompson - 岡本太陽
2005年2月20日、午後5時42分、ジャーナリストで小説家でもあるハンター・S・トンプソンが死んだ。コロラド州の自宅で銃で頭を撃ち抜いた自殺だった。享年67歳だった。家族が彼の亡骸を発見した時、彼は自身のタイプライターの前に座っており、そのページの中央には"counselor(カウンセラー)"の文字が書かれていた。
闘茶 - 渡まち子
お茶の味と技を競うというコンセプトのグルメ系ファイト・ムービー。京都の老舗茶屋の父娘がお茶のタブー、雌黒金茶と雄黒金茶をめぐる謎を解きに台湾へ。茶の効能を重視する中国・台湾に対して、日本はお茶を点てる行為に深い精神性を求める。この違いに主眼を置けば作品に深みが増しただろう。冒頭の、伝説のお茶を説明するアニメーションが素晴らしい出来栄えだ。
近距離恋愛 - 福本次郎
カネにも女にも不自由せず友人にも恵まれた優雅な独身男が初めて経験する深い愛。その相手は10年にわたってなんでも話せる親友として付き合ってきた女。今まで友情しか感じてこなかった女が婚約相手を伴って現れたとき、男は自分の気持ちを知る。結婚というイベントを前に舞い上がっている女と、なんとか阻止して彼女を取り戻そうとする男の心理戦が始まる。ただ、ほしいものは手に入れてきたこの男が、更に理想の恋まで成就させるという筋書きはいささか甘すぎる。
ホートン ふしぎな世界のダレダーレ - 渡まち子
他者に優しくというメッセージは伝わるが、大人が見るには少々キビしい。心優しい象のホートンが、ほこりの中のダレダーレ国の住人を守ろうと奮闘するお話だ。たとえ子供向けでも、米映画が全てを賭けて小国を守る話とは、冗談がキツい。ホートンが頑張る理由が今ひとつ不明瞭な上、悪役のカンガルーおばさんが最後まで謝罪せず明瞭な和解がないのはスッキリしない。唯一、終盤の、引きこもり息子を先頭にした音楽演奏はセンスを感じた。
ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!- - 佐々木貴之
◆テンポもかなり良くて全体的にノリの良い仕上がり(80点)
エドガー・ライト監督が、サイモン・ペッグとタッグを組んでヒットさせたゾンビ系ホラーのパロディ作品『ショーン・オブ・ザ・デッド』は、日本未公開のビデオ・DVDスルーだった。ポリスアクションのパロディ作品である本作も、世界中でヒットしたものの日本では劇場公開どころかビデオ・DVD化も未定であったため、これに危機感を抱いたファンによるネット上での署名運動によって、ようやく劇場公開が実現となった。ちなみに、私もこの署名運動に参加した一人だ。
崖の上のポニョ - 前田有一
宮?アニメに何を期待するかは人それぞれだが、『もののけ姫』(97年)以降の作品に満足できない、つまりは80年代の諸作品に夢を与えられた人々にとっては、今回も「またか……。」と嘆く事になろう。いまでも『ルパン三世 カリオストロの城』(79年)の幻想を追いかけ、諦めきれないファンも決して少なくないと私は考えている。だが、彼らが満足する日はもう永遠に来ないのかもしれない。
ワン・ミス・コール - 前田有一
和製ホラー『着信アリ』シリーズにおける「携帯電話によって呪いが伝播する」という秋元康のアイデアは、なかなか質の良いお茶っ葉であった。アジア各国でもこの味は受け、結局同じ茶葉で3回も4回も出す事になった。さすがにもう出ないだろうと思ったら、その出がらしを今度はハリウッドに持っていった。どうせアメリカ人は味オンチだから大丈夫、というわけか。
スターシップ・トゥルーパーズ3 - 前田有一
『スターシップ・トゥルーパーズ』シリーズは日本では特別な人気がある。本国ではDVD用だった超低予算のパート2も劇場公開されたし、この3作目も世界に先駆けて一番早く映画館で見ることができる。



























