白夜というタイトルと橋の上で出会う男女。これらからはドストエフスキーの小説やそれを原作とするヴィスコンティの映画を連想するが、この作品は偶然出会った男女が列車が出発するまでの時間を共に異国ですごす「恋人までの距離(ディスタンス)」に近い。仏・リヨンの橋の上に女が一人たたずんでいる。家族や会社にも内緒で別れた恋人を追いかけてここに来た彼女は橋の上で彼を待っていたが、そこに偶然通りかかった日本人の男が声をかける。明日帰国予定だというその男は、彼女にズケズケとものを言うが、不思議と二人は惹かれあう。
美しい街並みと美食の街であるリヨンが舞台というと心ひかれるが、物語そのものにリヨンである必要性は皆無だ。そもそも初めて会った者同士が、だらだらと身の上話をするという展開があか抜けない。テンポのいい会話のキャッチボールは、現代を生きる男女のそれだが深い孤独感を表現するには饒舌すぎる。回想形式であることから、悲劇が待つのは容易に想像できるが、その終わり方は取ってつけたよう。海外で評価が高い小林政広が監督だが、この人の作家性には一貫したものが見えず、それゆえ期待も高い。オール海外ロケ、二人芝居、時折挿入されるモノクロ画面やブレまくるカメラ。本作は監督なりの実験作だったのだろうか。
(渡まち子)
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