◆今見てもまったく色褪せない(70点)
ルイ・マルの傑作コメディのニュープリント版が劇場公開されている。1960年の作品だが、今見てもまったく色褪せない、おしゃれで楽しい内容だ。母親とパリにやってきた少女ザジは、地下鉄(メトロ)に乗るのを楽しみにしていたが、なんとストで動いていない。叔父のガブリエルの家に預けられたザジは、大人たちを翻弄しながら、クリニャンクールのノミの市やエッフェル塔、モンマルトルなどパリの名所を巡り、大冒険を繰り広げる。
ルイ・マルという人は多才な人だ。傑作サスペンス「死刑台のエレベーター」、大人の恋愛映画「恋人たち」の次の作品がこのスラップスティック・コメディで、無声映画へのオマージュに満ち溢れている。何しろ、おかっぱ頭でおませなザジの可愛さときたらハンパではない。元気一杯で生意気、口が達者で世慣れたザジは、大人と対等に渡り合うが、その大人もヘンな奴ばかりなのが笑わせる。早回し、コマ落とし、スローにジャンプカットと映像的にも才気が溢れ退屈しない。見知らぬオヤジを利用してパリで散々遊びまわったザジと共に観客もドキドキの体験ができるはず。さて、肝心の地下鉄に彼女ははたして乗れるのか? それは見てのお楽しみだ。浮気を楽しんだ母親と田舎に帰る途中、母から「何してたの?」と尋ねられ、「年をとったわ」と答える名セリフは、さすがはヌーベルバーグの旗手だと唸る。




























