ヒロインはりりしく魅力的だが、中身はコテコテのB級映画。ホラーやSF、格闘アクションにカーチェイス、はては政府の陰謀と、節操なく投げ込んだごった煮は、不思議な出汁(だし)が出ている。スコットランドで死のウィルスによる感染症が蔓延。政府はウィルスを封じ込めるためイングランドとスコットランドの間に巨大な壁を作り、中に残された人々を見捨てることでウィルスを封じ込めた。25年後、隔離された街の住人のほとんどは死滅、生き延びた者は暴力が横行する無法地帯“ホットゾーン”で暮らしている。そこに抗ウィルス剤がある可能性が見つかり、政府は女戦士エデンが率いるスペシャリスト・チームを送り込む。
近未来が舞台だが、敵がゾンビやモンスターではなく、国家から見捨てられ野獣と化した人間だという点は面白い。だがアクション映画としてあまりにも節操がなく、近未来の戦士、パンク野郎、中世風の老王などが、勝手に暴れているようにしか見えないのだ。特に、モヒカン頭のソルが率いる野蛮な集団は、コロシアムで捕虜を丸焼きにして食べながらライブ・コンサートでノリノリ。ワケが分からない。さらに分からないのが、終盤のカーチェイスだ。70年代の名作「バニシング・ポイント」ばりの気合の入ったシークエンスだが、抗ウィルス剤の話はどこへいったのか。ムチャクチャな展開に、ただただ茫然。ニール・マーシャル監督得意のグロテスクな残酷描写は相変わらず冴えているが、もう少し物語をまとめてくれないと困る。ただ、何事にも動じないタフな女戦士役のローナ・ミトラは好演で、義眼姿もサマになる美しきヒロインだ。美食ばかりでは食事も飽きる。映画もときにはB級グルメで、変わった味を試すのも一興か。
(渡まち子)
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