◆移民で構成された国ゆえの苦悩が見えるかのよう(70点)
9.11以降、米国の移民を描く作品には強い問題意識がある。そこには自由の国であるための不自由があり、移民で構成された国ゆえの苦悩が見えるかのようだ。LA移民局のベテラン捜査官マックスは、不法滞在の移民たちを取り締まる立場だが、彼らの境遇に同情的だった。そんな中、マックスの同僚で、イラン系アメリカ人ハミードの妹が殺され、遺品の中から偽造グリーンカードが見つかる。同僚がからむ秘密を感じたマックスは、独自に捜査を始める。
アメリカの移民制度は複雑で、分かりにくい。近年ではテロを恐れるあまり不寛容に陥ったアメリカを危惧する作品が多いが、この映画で描かれるのは、グリーンカードを手にしてアメリカに留まる者も、強制的に出国させられる者も、実態は紙一重だという危うさだ。不法就労者、女優志願、永住権を望む一家、孤児などの事情が描かれるが、今のアメリカは彼らに対して固く扉を閉ざした状態で、偶然開いたわずかな隙間から中に入るしか方法はない。中でも9.11テロの首謀者についてレポートを書いたイスラム教徒の少女がたどる運命は、考えさせられる。危険人物とみなされれば、個人や家族の幸せは国が考える正義の前で無残に踏み潰されていく。それを象徴するのが、国境という見えない線なのだ。ハリソン・フォードはすっかり老け込んでしまったが、正義と職務の間で苦悩する主人公を誠実に演じている。


























