監督が崔洋一、脚本が宮藤官九郎と聞いて大いに期待したのだが、蓋を開けてみれば彼らのカラーはあまり感じられず、消化不良のアクションだけが目につく時代劇となった。強靭な意志と優れた剣術、独自の忍術を身に付けたカムイは、掟に縛られた忍びの世界を捨てて“抜忍”となる。偶然知り合った漁師の半兵衛のもとで暮らし始めるが、そこにはカムイと同じ抜忍の女忍者スガルが身を潜めていた。やがてサメ退治を生業とする“渡り衆”らと知り合ったカムイは、ひと時の安らぎの日々を過ごすが、陰謀と殺戮が目の前に迫っていた。
物語は、白土三平の同名傑作コミックの「スガルの島」編を原作とする。 60年代、全共闘のバイブルだった「カムイ伝」は、階級闘争の精神がみなぎる力作。一方「カムイ外伝」は抜忍となったカムイの逃走の日々が中心なので、当然アクションが中心になる。だが、映画で描かれるそれは、CGやワイヤーアクションに迫力と工夫が足りない。特に渡り衆のサメ退治の場面のCGは苦笑を誘う。必殺忍法は、カムイの得意技・変移抜刀霞斬り(へんいばっとうかすみぎり)などが登場するが、もう少しバリエーションがほしかったところか。ただ、アクションは初挑戦の松山ケンイチは意外にも好演。迫力よりも哀しみを感じさせる表情が印象的だ。忍者という闇や影に溶け込む存在を描く物語なのに、ほとんどの映像が明るい色調なのが珍しい。
(渡まち子)
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