◆主人公が出会う人々との個々のエピソードがとてもいい(50点)
大人が子供につく嘘の“よかれと思う”その理由は、実は大人の側に都合のいいものだったりする。だが、子供というのは予想以上にタフだし、真実から学ぶものは大きい。小学3年生の大志は、父親と二人暮し。偶然見た写真から、パリに留学中と聞かされた母が、本当は瀬戸内海の小豆島にいることを知ってしまう。母に会うため、愛犬のアンと共に、黄色い自転車に乗って横浜から小豆島を目指す、大志の大冒険が始まった。
お母さんに会いたい。一途なその気持ちだけで無謀な旅に出てしまう少年がけなげだ。物語のディティールは甘く、旅の経緯も多くが偶然に頼るもの。だが、主人公が出会う人々との個々のエピソードがとてもいい。つながりは決して良くないが、どれも温かいものばかりだ。大志に出会う大人も子供も、彼に対して遠慮なくものを言うが、初めて会うこの少年を通じて自分自身が小さな勇気や希望を手にすることになる。ようやくたどり着いた小豆島の風景は心を洗う美しさだ。そこで知るビターな真実は少年には重いものだが、この旅を経験した大志ならばきっと乗り越えられる。そして父や周囲がついた嘘の意味も、必ず理解できるはずだ。




























