映画ファン待望の電子書籍(スマートフォン向けアプリ)

里山 - 渡まち子

四季折々のポエティックで美しい映像が満載(70点)
里山

© 2009NHK

 NHKの傑作ドキュメンタリーの劇場版は、TVで大反響をよんだ「里山」シリーズ3作をまとめたもの。新たにオリジナル映像を加えて、より充実した内容になっている。美しい緑に包まれた里山は、一見自然そのままに見えるが、実は森に人の手を加えて守り続けた“作られた”ものだと知り、驚かされた。動植物と人間が共存できてこそ機能するのが里山なのだ。老木“やまおやじ”を語り部にして、千年以上に渡って受け継がれた森のおきてを紹介していく。

 副題に映像詩とあるように、四季折々のポエティックで美しい映像が満載だ。NHKのハイビジョン撮影の高い技術は言うまでもなく、リス、イノシシ、カブトムシ、ミツバチなどの決定的瞬間を撮るために忍耐強く撮影したスタッフの苦労がしのばれる。今や空前のエコ・ブームだが、付け焼刃の自然保護とは異なり、歴史の流れでは、人は自然の敵ではない。人間が分不相応の行いを森に施した場合のみ、手痛いしっぺ返しをくらうのであって、基本的には人間も大きな自然の一部だというのが里山のスタンスだ。きつねやたぬきという昔話の世界の住人たちが人が住むすぐそばまでやってきてカメラの前を横切る様子にワクワクする。生態系、共存、自然への畏怖。そんなことを改めて考えさせてくれる秀作ドキュメンタリーだ。

渡まち子

スポンサードリンク