現代っ子にとって、動物が活躍する民話の世界は未来世界と同じくらいファンタジー・ワールド。中でも、きつねは人間のすぐそばで不思議な力をふるっているらしい。16歳の遥は、神社で、捨てられたおもちゃを運んでいるきつねのテオを目撃。あとを追って森の中に迷い込むうちに異世界“ホッタラケの島” にたどり着く。そこは人間たちが捨てて、ほったらかしにしたもので出来た世界だった。遥はここでテオと一緒に、母の形見の手鏡を探そうと決心する。
ものを大切にすることは、思い出を大切にすることだ。物語のキーとなるのは手鏡だが、それと同じくらい重要なアイテムが、ぬいぐるみの“コットン”。遥との再会の場となる、失くしたものの記憶を再現する「ホッタラケ・シアター」という設定が素晴らしく、これだけで物語がひとつ作れそうなほどだ。異界の入り口が水であったり、世界を変える道具が鏡であったりと、自分を照射する行為を意識して散りばめて、現代社会を問い直している。冒険の果てに待つ鏡の世界で、本当に大切なものを取り戻したヒロインは、現実世界で成長した姿をみせてくれるはずだ。日本製アニメらしいどこかウェットな感覚とポップな色彩の合体が、昔話がベースのこの冒険物語の魅力になっている。
(渡まち子)
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