引きこもりという現象は世界中にあるが、成長しても親との同居が定着している日本では独自の展開をみせる。35歳の二郎は屁理屈ばかりコネる口だけ達者なニート男。父の急死や母の失踪にもマイペースだったが、行方不明の母が送り込んだらしいマメシバの子犬・一郎と共に、不可思議な謎がちりばめられた母親探しの旅に出るハメになる。
物言わぬマメシバ・一郎が主人公・二郎を都合よく導く物語の設定にはかなり無理がある。それを承知で、一郎ちゃんの愛らしさに「すべてを許す!」と思わず理性を失いそうになる自分がいて、大いに弱った。主人公から幼獣と呼ばれるこのマメシバの、何かを訴えるような瞳は、二郎にさえ責任感と愛情を抱かせる。コ難しい単語や時代劇風の言葉を連発する中年男というキャラが面白いが、その面白さを加速させるのが佐藤二朗の怪演だ。犬の合コンから風変わりな女性との出会い、富士山登山と目まぐるしく話は進み、終盤には驚くべき展開に。芝居じみているとはこの壮大な計画のことだろう。強引すぎる“短期集中型成長物語”だが、自称・柴犬の生まれ変わりの私としては、全面的に肯定するしかないのであった。
(渡まち子)
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