◆文化祭のライブ・シーンは異様な迫力(65点)
旅、友情、性への興味。青春を彩るアイテムは今も昔も変わらない。60年代が熱い政治の季節なら、革命の夢破れてわだかまりと敗北感を抱えるのが 70年代。そんなビミョーな時代を生きる順は、京都の仏教系男子高校に通う、不良にも優等生にもなれないどっちつかずの文化系男子だ。友人たちとフリーセックスを夢見て隠岐島のユースホステルへ向かうが、現実はダサく厳しかった。だが、そこで、オリーブという魅力的な女の子と出会う。
煩悩だらけの地味な少年のマイペースな成長過程が、みずみずしくユーモラスだ。典型的な青春ドラマだが、この主人公ときたら、何もコンプレックスがないことがコンプレックスという幸せモノである。これでは自分が目指す“ロックな生き様”にはほど遠いと悩むところが可笑しい。とはいえ、彼なりにいろいろなことがあって、すべてをぶつけるように歌う文化祭のライブ・シーンは異様な迫力だ。フォークでもロックでもなく、自分だけの言語で吠えるように歌うパワフルな歌は、変化した順がつかんだ青春のサウンド。家庭教師が言う「音楽は武器になる」という言葉が説得力をもって響いてくる。みうらじゅんの自伝的小説が原作だが、仏教に造詣が深い作者の原点がこの物語なのだろう。その不器用さに好感が持てる。





























