◆さざ波のような感動と優しさが伝わってくる(80点)
ミステリアスで上質なドラマに感動する秀作だ。北イタリアの小村の湖のそばで、美少女アンナの死体が発見される。刑事サンツォオは事件を調べていくうちに、村の住民の秘密や悩みを知ることになるが、アンナがベビーシッターをしていた幼児アンジェロの事故死が事件に係わっていることに気付く。やがて、切ない思いが込められた真相が明らかになることに。
事件の発端は「ツイン・ピークス」のようだが、犯罪組織や猟奇的な描写とは無縁。あくまでも人間ドラマの比重が高い。登場人物の共通点は、人を愛する方法を模索していることだ。実の娘だけを溺愛する父、障害のある我が子を愛せない親、若い恋人の一途な愛、そして、記憶を失くす難病を患う妻を愛する刑事の苦悩。小さなコミュニティを舞台にした群像劇だが、痛みを抱えるそれぞれの人物描写が丁寧だ。被害者アンナの生き様と死に様の真実から、さざ波のような感動と優しさが伝わってくる。深い人間描写、緻密なストーリー、静謐で美しい映像、俳優たちの名演。ラストのほのかな希望。どれをとっても見事。地味でストイックな小品だが、人間を描くことに長けたイタリア映画の底力を感じさせる静かな傑作だ。




























