◆アイロニカルな視点が仏映画らしい(65点)
老いと孤独。家族の崩壊。この物語の穏やかな喪失感は、どこか小津映画を思わせる。パリ郊外の瀟洒な一軒家に住んだ母の死後、家と美術品コレクションを処分することになり、3人の兄妹はそれぞれの思いで人生に向き合うことに。緑あふれる家と庭はすべてが絵画的。それに対し、時代の流れやグローバリズム、遺産分割など、子供たちの現実は決して甘くない。結局残るのは物ではなく共に過ごした時間をいつくしむ心なのだ。美は思い出の中にあるというアイロニカルな視点が仏映画らしい。ちょっぴり問題児で現代っ子の孫娘が、祖母と暮らした家や絵がなくなることに対して悲しむラストが秀逸だ。未来の象徴である彼女の心が本当の財産なのだとこの映画は告げている。オルセー美術館20周年企画の美しい小品だ。



























