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重力ピエロ - 渡まち子

「メチャクチャだよな」のセリフのとおり(45点)
重力ピエロ

© 2009『重力ピエロ』製作委員会

 毎度のことだが私は伊坂幸太郎原作の映画とは相性が悪い。残念ながら今回も同じだ。一見関係のない出来事が最後にピタリと合致するのが伊坂ワールドの特徴で、本作もそれを踏襲し、ミステリーとしての完成度は高い。だが、この作者の魅力と言われる名台詞は、文字で読む分はいいが、声に出した途端に色褪せる。兄・泉水と弟・春は、街で発生する連続放火事件の謎を追うが、その事件は彼らにかかわる哀しい過去へと繋がっていた。

 最強の家族ならどんなことも乗り越えられる。だからといって、どんなことでも許されるのか。「メチャクチャだよな」のセリフのとおり、作者自身も承知なのだが、これを優しさや切なさという言葉でありがたがるのが理解できない。つまりは、モラルを超越したところに価値を見出す物語なのだろう。春が、消されてにじむグラフィックアートを見つめる様子は不条理を象徴する映像で面白い。身勝手な理論で犯罪を正当化する渡部篤郎の不快な存在感は、印象的だ。

渡まち子

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