感傷的なセリフや説明はないが、愛と尊厳が伝わってくる。ダルデンヌ兄弟が得意とする社会の底辺で生きる人間の物語だが、今回テーマにしたのは命そのものだ。アルバニア人のロルナは麻薬中毒の青年クローディと偽装結婚し闇組織から収入を得るが、組織が彼を殺そうとしていることを知って抵抗する。クローディもロルナも弱い人間だ。だが心の奥底にある良心を捨てることだけはできない。ロルナが救おうとするひとつの命は、実際に存在するかどうかは問題ではない。命を守ると決めた時、ロルナは本物の人間になった。ラストに流れる音楽に、かすかな希望を感じる。
(渡まち子)
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