戦争中、敵国のスポーツだった野球を愛したエピソードは多いが、これもそのひとつ。学徒出陣直前に、若者たちにせめて思い出をと、壮行早慶戦の実現に奮闘した早大野球部顧問の飛田の姿を描く。それぞれの立場で野球と学生たちを愛する人々の思いが胸を打つ。早稲田、慶応の互いの校歌を歌いあう場面は涙を誘うものだ。ただ、志は尊いが、現代とつながる視点がないのがこの作品の弱点。戦争そのものが風化しつつある今、若い世代にア ピールしなくては反戦という目的には達しない。渡辺謙の息子の渡辺大がりりしいが、やはり柄本明の静かで熱い演技が素晴らしい。
(渡まち子)
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