男子フィギュアのペアという暑苦しいアイデアだけで勝ったも同然だ。下ネタ満載で、品位のかけらもないおバカなコメディなので、良識派には勧めない。だが、日頃エラそうにコ難しい映画評をブッている輩(注:筆者含む)に限って、こういう映画が大好きだということを、私はちゃーんと知っている。
ちなみに原題「BLADES OF GLORY」から、ボン・ジョヴィの名曲「BLAZEOF GLORY」をパロッた内容かと勘違いする音楽ファンがいそうだが、どうも関係ないようだ。むしろ邦題がフェレルの出演作「俺たちニュースキャスター」を安易に踏襲したもので、日本側の扱いの軽さが伺える。
勘違い系のワイルド男チャズと、ちっとも美しくない白馬の王子様系ジミーは共に実力あるスケーターだが、その真逆のキャラが災いし犬猿の仲。大会でダブル優勝したはいいが表彰台で大喧嘩し、スケート界から永久追放されてしまう。規則の盲点をつき、前代未聞の男子ペアとして復帰した彼らだったが…。
日本でも大人気のフィギュア・スケートというのは、ピラピラ・派手派手な衣装に、ビールマンスピンやイナバウワーなどの非常識な体のポーズ、“氷の上”で演技する真意さえ不明のナルシスティックなダンス系競技である。美しさと高度な技術に惑わされるが、落ち着いて考えてみれば、極めて不自然な珍スポーツと言えよう。これをコメディのネタとして再認識した製作者はスゴい。米国では大人気・日本ではさっぱり不人気のウィル・フェレルと、「バス男(原題:ナポレオン・ダイナマイト)」の脱力キャラがハマッていたジョン・ヘダーという絶妙な組み合わせで、とことんおバカな映画を作ってしまった。しかも新旧有名スケーターが惜しげもなくゲスト出演。チョイ役でルーク・ウィルソンの登場もあるサービス精神も嬉しい。こういう映画は、根性もポリシーもいっさい不問で、最高に楽しめるのがイイところなのだ。堅いことを言うのはヤボである。
手先に孔雀の頭を付ける衣装センス、北朝鮮がらみの命がけの必殺技、サーシャ・コーエンの懐の深いバカ演技、あまりにアホらしいSF調ラスト。笑い所を数え上げたらキリがない。あぁ、日本公開、おめでとう!2007年ベスト・コメディはこれで決まりだ。
(渡まち子)
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