◆映画の物語と現実が絶妙にリンクしている(50点)
米国の人気TVシリーズ「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」の劇場版は、ノーテンキな明るさが楽しいアイドル映画。歌手のマイリー・サイラスが熱演するが、このTVドラマやサイラスの人気に温度差がある日米では、映画のありがたみも異なるだろう。普通の女子高生マイリー・スチュワートは、実は全米で大人気のアイドル、ハンナ・モンタナなのだが、この秘密はごく少数の人間しか知らない。二重生活をこなすマイリーはいつしかセレブの生活に慣れてしまい、傲慢な性格に。マネージャーでもある父ロビーはそんな彼女を心配し、強制的に故郷のテネシーに連れて行く。マイリーは、ここで幼馴染のカウボーイのトラヴィスと再会し、自分自身をみつめることになる…。
マイリー・サイラスは数年前のアカデミー賞でプレゼンターを務めていたくらいだから、米国での人気はトップクラス。ルックスだけ見るならばもっと美しい少女はたくさんいるが、表情豊かな女の子で、歌いだすと途端にパワフルに輝きだすタイプだ。コミカルな演技がさまになる三枚目路線のアイドルというところが親しみが持てる。劇中のマイリーとハンナを演じるのはマイリー・サイラス、父ロビーを演じるのは、カントリー歌手でマイリー・サイラスの父であるビリー・レイ・サイラス。つまり映画の物語と現実が絶妙にリンクしているのだ。ヒロインの悩みは、恋や友情、家族との関係。何よりハンナであるがゆえに、大好きな人たちを傷つけてしまうのがつらい。悩んだ末に、普通の女の子であることと、好きな歌を存分に歌えるアイドルの二重生活に答えを出す。ヒロインの選択を見守りたい。
物語は、前半はコメディタッチで、後半はちょっぴりシリアス。ただ、TVドラマは典型的なシットコムで、絶妙に起こる観客の笑い声に後押しされるためベタな笑いも楽しめるのだが、映画版でこのレベルのギャグを連発されるとさすがにサムい。そもそも、ブロンドのかつらをかぶっただけのハンナがマイリーだと誰一人気付かないとは。どこから見ても同一人物じゃないか!とツッコミたくなった。とはいえ、ハンナ・モンタナがマイリー・スチュワートだという秘密は、すなわちハンナ・モンタナを演じるのがマイリー・サイラスだという、誰もが知る秘密と同じ。それならば、このあからさまな二重性も映画的だと思えて納得してしまう。たっぷりと披露される新曲や、ストーリーに無理なく組み込まれたライブシーン、カントリー歌手テイラー・スウィフトら豪華なゲストなど、ティーン向けエンタメ映画としては上出来の楽しさだ。
(渡まち子)
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