◆豪華キャストの割には渋い人間ドラマの本作、いい意味で期待はずれの内容(60点)
© Lam Duc Hien,Photographer © Central Films Sarl,Morena Films SL,BetterWide Limited,Lumiere International limited,LBF10Limite.2009,Studio Canal,All Rights Reserved.
豪華キャストによる群像劇に見えるが、実はヒロインの女一代記だ。監督は、戯曲家アーサー・ミラーの娘のレベッカ・ミラー。ピッパ・リーは50歳。良き妻、良き母である彼女は年上の作家で出版社を経営する夫と結婚し、幸せそうに見える。だが、彼女を取り巻くのは老齢になっても浮気性の夫、自立心のないダメ女の親友、反抗的な娘、何より退屈な毎日に息がつまりそうな自分だった。30年近く完璧な妻を演じてきたピッパは、若い頃の波乱万丈の人生を振り返りながら、風変わりな青年クリスに惹かれていく…。
50代をアラフィフと言うらしいが、その年齢を迎えた彼女たちは、この時期を折り返し地点ととらえているようだ。ふと立ち止まって自分の人生を振り返り、これでいいのか? と自問する。もう少し早い時期に振り返ってほしい気がするのだが、50代ならではの心の迷いや転機というものがあるのだろう。ピッパの若き日は、母親との確執や心の病、ドラッグ依存など問題だらけ。夫との結婚を手に入れるために、あるショッキングな事件があり、そのことが彼女のトラウマとなっているのだが、ろくに仕事や住む場所もないどん底状態の自分を救ってくれた彼への負い目が、ずっとピッパを型にはめてきた。さらに言えば、自分で居場所を探さず、いつも何かから逃れ誰かの招く方向に行っただけという彼女の主体性のなさが、理想の妻を演じる要因だったように思う。自分が本当に望むものを知らずに生きた代償が、退屈な老後というのは、なかなか考えさせられる。15歳年下の風変わりな青年クリスと出会い、ピッパが旅立つのは、彼女が初めて自分から行動したスタート地点なのだ。それが恋かどうかは分からないが、ヒロインはきっと素の自分に戻れるだろう。豪華キャストの割には渋い人間ドラマの本作、いい意味で期待はずれの内容だった。ただ不満なのはこのセンスのない邦題。せっかく人生の機微を描いた内容なのだから、もう少し「見たくなる」ような味のあるタイトルをつけてほしい。




























