◆80年代の香港映画や90年代の韓国映画を見ているかのよう(55点)
中国を代表する女優チャン・ツィイーが、ドジでキュートなヒロインを熱演するドタバタコメディ。女流漫画家のソフィーは、アメリカ帰りの外科医ジェフと結婚寸前に、高慢な美人女優のジョアンナに彼を横取りされてしまう。打ちのめされたソフィーは、友人や、ジョアンナの元カレと噂される写真家のゴードンを強引に巻き込み、ジェフを取り戻す計画を立てるが、失敗ばかり。そんなソフィーにゴードンは惹かれていくが…。
中国、韓国、日本、米国とワールドワイドに活躍する女優チャン・ツィイーがプロデュース業に進出し、自分が主役のスラップスティック・コメディを作った。どんなジャンルでもどこか素朴な優しさが特徴だった従来の中国映画。そのイメージを根底から覆すドタバタの恋愛喜劇は、そのまま経済発展著しい中国の豊かさを連想させるものだ。物語はフラれたものどうしで手を組み、相手にリベンジを企てるうちに、新たな恋が芽生えるというもので、メグ・ライアン主演の「恋におぼれて」にそっくりな展開だ。違うのは、ツィイーが演じる漫画家ソフィーの新作の内容として描かれるため、極端にデフォルメされた描写で埋め尽くされていること。絵の具箱をひっくり返したような色彩のインテリアやファッション、ソフィーの悪巧みのばかばかしさ、アニメも交えて描くコミカルで飛躍するストーリー。どれをとってもアリエナイのだが、これは彼女が描いた漫画の物語なのだからリアリティなどなくてもかまわない。それにしてもこの笑いの質は、まるで80年代の香港映画や90年代の韓国映画を見ているかのよう。キャストも韓国からソ・ジソブ、台湾からピーター・ホーが参加するなど、アジア各国からの才能が結集している。ハリウッド製コメディの洗練とは無縁だが、この泥臭い笑いには、問答無用のパワーを感じる。
(渡まち子)
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