◆自らの想像力というブラックホールに落ちてゆく(65点)
低予算ながらツボを心得た演出が光る異色のホラー映画だ。ミカとケイティは、平凡な一軒家で幸せに暮らす若いカップル。ある時、毎晩寝付いた後に家の中の様子が少しずつ変わっていることに気付く。少女の頃から霊感が強いケイティは、自分たちの家で何かが起こっていて、その原因は自分にあると主張。事実を確かめるため二人は、家中に複数のビデオカメラを設置する。撮影された映像には、信じられないものが映っていた…。
パラノーマル・アクティビティとは超常現象の意味。この作品は、約135万円のわずかな予算、7日間という猛スピードで、限りなく自主映画に近いノリで制作され、限定12館のレイトショーで公開された。だが封切られると、たちまち口コミでその面白さが広まり、スマッシュ・ヒットを記録したというから、アメリカン・ドリームを地でいく作品だ。家の中にいる“何か”をビデオカメラで撮影するというただそれだけの話なのに、独特の緊張感を醸し出した最大の要因は、全編固定カメラで撮影していること。フェイク・ドキュメンタリーと分かっていても、観客はほとんど金縛り状態でこの静かな映像を見つめることになる。凝視した果てにカメラのフレームの外側にある見えない恐怖まで体感してしまい、自らの想像力というブラックホールに落ちてゆくというわけだ。不審な物音、無人なのに開閉するドア、霊と交信できるというウィジャボード。すべてがホラー映画でおなじみのアイテムだが、肝心の“何か”は、なかなかスクリーンに現われない。じわじわと膨らんだモノトーンの恐怖は、クライマックスに突如カメラに突撃。臆病者の私は思わずのけぞってしまった。誰もが身近に感じる自宅という舞台設定と、無名の俳優がホームビデオで撮影するリアリズムが、さらに恐怖を倍増させる。ビデオで撮影しパソコンで手軽に編集、スタッフも仲間内という手作り感覚のホラーだが、評判になっただけのことはある。




























