◆あくまでも子供の目の高さで描く珠玉作(70点)
親の離婚で子供が心に負う傷とそれを乗り越える力強さの両方を、あくまでも子供の目の高さで描く珠玉作だ。パリで暮らすユキは、仏人の父と日本人の母を持つ9歳の女の子。ユキはママから、パパと離婚して日本に帰国すると告げられショックを受ける。親友のニナと相談し両親の和解を願って手紙を届けるが、ママは涙するだけ。ユキはついに家出を決意する…。
両親の離婚の意味を9歳のユキが理解するのは難しい。ニナの両親も離婚しているのだがニナは納得しておらず母親を問い詰める場面がある。「ママだって悲しかった」という母親に「悲しいのにどうして別れるの?!」と叫び、素朴な疑問を投げかける姿が、親の離婚がいかに子供を混乱させるかを示していてやるせない。悩んだ末に母とも父とも離れる決意をしたユキが、郊外の森の中を彷徨っているうちに、いつのまにか日本の森とつながっていく不思議な設定が象徴的だ。フランスと日本、父と母、理想と現実。二つのファクターの間で揺れるユキの心情を受け止めるのが、日常から隔絶された神秘の森で、ピュアな存在である子供だけが、別世界へと通じる道を通ることが許される。この森の先で出会った日本の少女たちは、ママの昔の姿であり、彼女たちを優しくみつめる老婆がユキにとっての見知らぬ国・日本に重なっていく。森の役割はファンタジーとリアルの架け橋になり、ユキに希望を与えることなのだろう。振り返る過去を多く持たない分、子供が未来を見据えて前を向く力は強い。ユキは少し大人になり、彼女とともに周囲の大人たちも変化して新たな一歩を踏み出した。子役は共に素晴らしく、とりわけユキを演じるノエ・シャンピーのちょっと寂しげな横顔が忘れ難い。
(渡まち子)
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