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パチャママの贈りもの - 渡まち子

◆圧倒的な自然が素晴らしい(65点)

 南米ボリビアの雄大な自然と、そこに暮らす先住民ケチュアの人々の素朴な表情に癒される。13歳の少年コンドリの一家は、代々、ウユニ塩湖の塩採掘を生業にしている。毎日を無邪気に楽しく暮らしているコンドリは、ある年、初めて父親と共に3ヶ月をかけてアンデスの山間の村々に塩を運ぶ“塩キャラバン”に行くことになる。

 父の背中を見ながら、仕事や生き様など、多くのことを学ぶ旅の物語は、圧倒的な自然が素晴らしい。加えて、ラテン・アメリカ特有の民族音楽であるフォルクローレが魅力的だ。そのメロディが流れてくれば、アンデスの風を感じることができる。この作品を作ったのが、ボリビア人ではなく日本人ということは驚きだった。NY在住の松下俊文はこれが初長編監督作となるが、6年の歳月をかけて作ったこの作品は、とても丁寧に作られていて好感が持てる。

 塩という生活必需品を運ぶ仕事は、今や消えつつある過酷な仕事だ。この映画の登場人物たちを見て、自然との美しい共生などと言うのは、豊かな国に暮らす我々の外側からの目線にすぎない。中南米で最も貧しい国ボリビアの、その中でも特に貧しい地域であるアンデス高原に住む人々にとっては、望んでいる暮らしという前にその暮らししか選べないという現実があるのだろう。それでも、こんな心豊かな作品を見れば、その飾らない生き方に憧れてしまうのだ。先住民の生活は貧しく厳しいが、自然に逆らわずに生きる彼らの姿には誇りが感じられる。青い空に映える真っ白い塩湖、キャラバン、祭り、何より確かな成長をとげるコンドリ少年の笑顔がいい。パチャママとはインカ帝国の末裔のアンデス先住民の言葉で“母なる大地”の意味だそう。物資的な豊かさではなく、生そのものの豊かさは大地が教えてくれる。

渡まち子

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