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曲がれ!スプーン - 渡まち子

◆テンポの良い笑いで魅せる楽しいコメディ(55点)

 劇団ヨーロッパ企画の戯曲「冬のユリゲラー」を原作とするだけあって、舞台風の演出が目立つが、テンポの良い笑いで魅せる楽しいコメディだ。超常現象番組の新米ADである桜井米は、上司から本物のエスパーを探せと命令され、全国を飛び回る日々。彼女自身は超能力を信じているが、インチキ超能力者ばかりが現われ、落ち込んでしまう。あきらめかけた時、喫茶店「カフェ・ド・念力」に辿り着くが、そこは本物のエスパーたちが密かに集まる場所だった。

 主人公の米(よね)と、史上最弱のエスパーたちは、本来は“敵”同士。なぜなら、エスパーたちは米が担当する超能力番組が大嫌いなのだ。だが彼らには共通項がある。女性は総じて現実的だが、米は子供時代の不思議な体験を大切にしている、夢見がちな女の子。一方、エスパーたちは、自分たちの能力をひた隠しにして地味に生きているが、年に一度、“同業者”同士で力を披露し合うことが楽しみ。米もエスパーたちも、世間一般から見れば、ちょっぴりハミダシ者というわけだ。どこか間(マ)が抜けたエスパーたちは、自分の力をくだらないことばかりに使っているのに何だか楽しそうである。そんなお人好しの彼らが、本当は、正体を知られてはいけないのに、米のため、ある“不思議”を演出する終盤がハートフルだ。特に、ラストに米が超能力を逆利用するくだりは、実に洒落ている。心優しきエスパーを演じる小劇場界の役者たちの達者な演技が味わえるが、いつも悲劇のヒロインばかりの長澤まさみがコメディに初挑戦、その必死さが初々しい。これをきっかけに彼女がコメディの魅力と演技に目覚めてくれれば…と期待している。見終われば、ダメもとでスプーン曲げに挑戦したくなった。

渡まち子

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