◆ただひたすら破壊の映像を体感しよう(55点)
破壊の限りをつくす大スペクタクル映像の連打に、唖然とさせられる。ディザスター・ムービーの第一人者であるローランド・エメリッヒ監督は、ついに地球をまるごとブッ壊してしまった。2012年に地球は滅亡するというマヤの予言が現実になったことを知った米政府は、人類を存続させるべく各国首相と連携して極秘プロジェクトを開始する。売れない作家のジャクソンは、偶然そのことを知り、愛する家族を守ろうと、政府が選ばれた人々だけを救済するために作った巨大船を目指す。だが、すでに世界各地で大災害が起こり始めていた…。
2012年といえば、もう目の前。キリスト教をはじめ多くの宗教で終末思想は語られるが、世界の終焉を驚愕の映像でこうまでリアルにシミュレーションされては、神も仏もない私でも不安になる。それほど、このディザスター映画のCGはすさまじい。地震、火山噴火、津波。どれも現実のニュースを賑わせる災害ばかりだからなおさらだ。だが、これらすべてが巨大化し一度に押し寄せる超・非常事態で、助かる資格を持つのは、政府の要人や王族、特別な才能の知識人に、大金持ちといったセレブだけ。地球滅亡をぎりぎりまで秘密にした米政府は、一般庶民には愛する人に別れを告げる時間さえ与えない。
助けられる条件を何一つ満たさないジャクソンだが、そこは映画の主人公、手に汗握るジェットコースター級の恐怖を間一髪でかわしながらしっかり生きのびる。大味な物語とは対照的に、大災害のデジタル映像は臨場感たっぷりでハイレベルだ。大都市LAが崩れ落ち、溶岩流がハワイを包み、ヒマラヤを大津波が襲う映像は、まさに圧巻。人類を救うために巨大でハイテクの方舟(はこぶね)を作るという発想と、主人公の息子の名前がノアであるなど、極めて分かり易い描写があるが、その分かり易さは、方舟を中国で作らせるのに、中国人は乗船させないという点でも発揮される。皮肉をしっかり効かせたあげく、ケロリとハッピーエンドで終わるのだが、すさまじい映像で圧倒された観客は、突っ込みを入れる体力が奪われ、ただ脱力するのみ。とってつけたような人間ドラマはこの際、ワキに置いて、ただひたすら破壊の映像を体感しよう。…というより、それより他になす術はないのである。




























