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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編 - 渡まち子

◆アンチヒーローとして目立ちたいというメスリーヌの嗜好が興味深い(70点)

 フランスに実在した不世出のギャング、ジャック・メスリーヌの半生を2部構成で描く大作の完結編。Part2 ルージュ編では、70年代、フランスに舞い戻ったメスリーヌが、犯罪と脱獄を繰り返したあげく“社会の敵No.1”と呼ばれるようになる過程と、壮絶な最期を遂げるまでを描く。

 メスリーヌのそばにはなぜか“優秀な犯罪者”が集まるが、彼自身の個性は、大衆にアピールすることを重視したことだ。初めはそれが功を奏したが、結局はマスコミという敵に踊らされ、墓穴を掘るのが皮肉である。メスリーヌと同じ脱獄王だが、地味で内向的だった相棒のフランソワと違い、新聞の一面を飾り、アンチヒーローとして目立ちたいというメスリーヌの嗜好が興味深い。政治思想などないのに、あっさりと感化される“素直さ”。殺人さえ平気なのに、重病で入院した父親を見舞い、「何があろうとお前は私の息子だ」との父の言葉に泣き崩れる“繊細さ”。これらは、彼の矛盾した多面性が顕著な場面だ。息子としてのメスリーヌ、そして子供たちを愛してやまない父親としてのメスリーヌは、犯罪者としての顔の裏側に常にある。最後の愛人と共に遂げた壮絶な最期は、死して伝説になった彼にとっては本望だったのかもしれない。ヴァンサン・カッセルが、体重を20キロも増やして主人公を熱演。鬼気迫る演技は、仏映画が得意とするフィルム・ノワールの伝統を受け継ぐものとして映画史に残るだろう。

渡まち子

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