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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 Part1 ノワール編 - 渡まち子

◆悪だけでは語れない複雑な人物像が面白い(70点)

 フランスに実在した伝説のギャング、ジャック・メスリーヌの壮絶な半生を2部構成で描く大作。Part1 ノワール編では、1959年、ジャック・メスリーヌが、アルジェリア戦争で非情な戦場の実態を体験し、60年代、パリに帰還後、幼馴染に誘われて次第に悪事に手を染め、若いチンピラからいっぱしのギャングになって犯罪に手を染めていく様子を描く。

 冒頭にメスリーヌの最期を映すことから、観客は彼の運命を最初から知ることになる。長い映画は、そのままメスリーヌの死へのカウントダウンだ。最初は強盗から始まったメスリーヌの犯罪は、どこかトボけたところもあって明るさが漂う。海外逃亡の末にカナダで捕まるが、やがて脱獄。映画はメスリーヌを義賊のようなイメージで描いているのが興味深い。実際、一度脱獄した刑務所を、仲間を解放するために危険をおかして襲う様子は、痛快ですらある。自分なりのルールに従って罪を重ねて生きる男が、破滅に向かうと分かっていながら犯罪の世界で覚醒していくのがノワール編だ。初体験の相手である娼婦サラの敵討ちをしたり、スペイン人の妻ソフィアを熱愛したり、愛人で相棒のジャンヌと運命的に惹かれあったりと、女性関係は常に華やかで、メスリーヌの不思議な魅力を裏付けている。32回の銀行強盗、4回の脱獄を繰り返した実在の犯罪者をドライなタッチで描くが、悪だけでは語れない複雑な人物像が面白い。

渡まち子

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