◆素晴らしい美術や衣装をたっぷりと堪能したい(75点)
イタリア映画「山猫」に日本映画「華麗なる一族」をブレンドしたような、重厚な歴史劇だ。滅びの美学を貫いたヴィスコンティの作品と決定的に異なる点は、時代をしたたかに生き抜く登場人物の生命力である。19世紀半ばのシチリア。名門貴族ウゼタ家では、絶対的な権力をふるう封建的な父ジャコモと、嫡男のコンサルヴォが激しく対立していた。母は病に倒れ、叔父は遺産を奪われ、妹は政略結婚させられるという無念を見ながら、やがて当主になったコンサルヴォは生き抜くためにある決心をする。
統一されても都市国家のカラーが色濃いイタリア、とりわけ特殊な道を歩んだシチリアの、名門貴族の愛憎劇の特徴は、変化するかに見えて根本では何も変わらないということだ。王朝支配下からイタリア統一、民主化へと時代は変わるが、映画は、時流を読んでしぶとく生き残る公爵家の権力志向を冷めた目でみつめている。父親を激しく憎みながらも一族の枠から逃れられない主人公がその象徴だ。副王とは、欧州の国王代理を務める高位の行政官のこと。ウゼタ家は、スペイン・ブルボン家の副王の末裔という設定だ。格調高い映像で描く一大叙事詩は、愛することと憎むことを同じ重みで感じさせる、獰猛な力強さがある。息子を忌み嫌う父が言う「人を鍛えるのは憎悪だ」との言葉がとりわけ印象深い。そんな父に反発しながらも同じ運命にからめとられる主人公の嘆きが聞こえてくるようだ。原作はフェデリコ・デ・ロベルトの古典小説。素晴らしい美術や衣装をたっぷりと堪能したい。






























