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ホワイトアウト - 渡まち子

◆ミステリーとしては平凡(55点)

 南極を舞台にした映画はいくつかあるが、この地でのサスペンスは珍しい。極寒の地・南極大陸。米国連邦保安官キャリーは、あと3日で2年の任務を終えるはずだった。しかしキャンプから離れた場所で他殺死体が見つかる。捜査を開始した彼女は、長い間氷の下に埋もれていた重大な秘密を知ることに。南極で初めて起こった殺人事件の謎を追うキャリーに危険が迫る。

 ホワイトアウトとは、南極特有の自然現象で地球上で最も危険と言われる吹雪のことだ。純白の美しい光景は、本格的な冬が到来すると、狂ったような白い地獄へと豹変する。襲いかかる謎の犯人から逃げるため、ほんの一瞬の間、手袋なしで外に出たため、たちまち凍傷で指を失うという容赦ない環境は、頂点に達した寒さとはもはや凶器なのだと分かる。その凍傷が犯人探しのヒントになるという設定はなかなか上手い。外は、ロープをつたわなければ歩くことさえできず、もし強風にさらわれれば命を失う。すぐ目の前に殺人者がいるのに猛吹雪でその姿が見えないという状況は緊張感たっぷりだ。ヒロインは過去に同僚に裏切られたことでトラウマを抱えているが、人間同士の不信感など瞬時に吹き飛ばしてしまう自然の力が彼女を逆に強くした。事件の底辺には、人間の欲深い業(ごう)があるが、破壊的な寒さが支配する南極は、そんな欲さえ存在できないのだ。ミステリーとしては平凡だし、犯人の動機も弱い。だが、極限状態の人間の本能を、獰猛な自然とからめて描いたことが、作品の個性になった。

渡まち子

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