◆大人になりきれない大人の成長物語(65点)
ハリウッド映画の日本版リメイクという珍しいパターンで、オリジナルはアレクサンダー・ペイン監督の「サイドウェイ」だ。物語の舞台は同じカリフォルニア、登場人物を日本人の男女4人に置換え、さえない40代の男二人が人生を見つめなおしていく様子を描く。俳優は日本人だが、監督やスタッフは海外という点は作り手のこだわりなのだろう。売れない脚本家の道雄は、米国留学時代の親友でアメリカ在住の大介の結婚式に出席するため、LAを訪れる。式を前に、二人はワインの産地ナパ・バレーへドライブ旅行に出かけるが、そこで道雄はかつての片思いの相手・麻有子と出会い心ときめく。一方、大介は麻有子の友人のミナに惹かれる。
オリジナルの「サイドウェイ」は、小品ながら、オスカーにもノミネートされた秀作だ。物語の骨格は同じだが、登場人物の背景を日本人向けに変えるなど細かい変更がなされている。本作は例えるならば、“お箸で食べる西洋料理”という感じだ。アラフォー男性が結婚や仕事に対し、ジタバタする様は可愛いやら可笑しいやら。ユーモアとペーソスを巧みに取り入れ、大人になりきれない大人の成長物語としてよく出来ている。道雄は麻有子の元・家庭教師という設定だが、離婚を経験し、外国でキバッて生きている麻有子の方がずっと大人びている。だがそんな彼女も肩の力を抜きたい瞬間があって…という描写がリアルだ。オリジナルが大好きだった私としては、手放しで褒める気にはなれないのだが、人生を前向きに進もうとするあたたかい物語や、みずみずしいナパ・バレーの美しい映像はオリジナル同様に悪くない。ジェイク・シマブクロの音楽も耳に心地よく、後味さわやかな一杯のワインのような作品になった。
(渡まち子)
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