◆チームで戦う駅伝競技の素晴らしさを伝えてくれる(75点)
風を感じるさわやかな映画だ。駅伝に賭ける若者たちの絆を、けれん味のない演出で描いて感動を呼ぶ。事件を起こして競技から遠ざかった天才走者カケルと、故障によりエリート・ランナーの道を諦めたハイジ。二人の若者が出会い、彼らの才能に引っ張られる形で、寄せ集めに等しい大学陸上部のメンバーたちが、無謀ともいえる箱根駅伝に挑戦する物語である。
個性的な10人がつなぐタスキは、自分を待つ仲間に手渡した時、確かな“生きる手応え”となる。野球、水泳(飛び込み)、ボクシングと、スポーツ映画の常連になった林遣都がカケルを、生真面目だが熱い思いを胸に秘めるキャラがぴったりの小出恵介がハイジを演じて、キャスティングは適材適所だ。走るというと単調な動きに思えるが、陸上競技を描いた映画には意外にも秀作が多い。「炎のランナー」や「長距離ランナーの孤独」、廣木隆一監督の「800 TWO LAP RUNNERS」も秀作だ。本作では、区間賞や繰り上げスタートなどの駅伝独特のルールを巧みに盛り込み、緊張感が味わえる。走者のモチベーションも、ライバルとの確執や過去の自分との戦い、好きな女の子への思いなどメリハリがあって上手い。さらに、沿道の景色や起伏のあるコースの映像も魅力だ。違うタイプの心の傷を抱えた部員それぞれの長所を活かして戦術を練る様子は、個人ではなくチームで戦う駅伝競技の素晴らしさを伝えてくれる。「長距離選手に必要なもの。それは速さではなく強さだ」という言葉は、この作品を象徴している。伝説のOBである監督の存在感が薄いのは不満だが、共通の夢を目指して成長する青春映画の後味はさわやかだ。冒頭とラストに映る空と、走るシルエットの美しさが忘れられない。





























