◆とても病人には見えない元気な難病美少年と、やたらとモテるヒロイン(30点)
純愛と難病という二本柱で、ティーンエイジャーの女子の涙を誘導するラブ・ストーリー。ヒロインの周囲の人間の死亡率はハンパじゃない。医師を父に持つ少女・繭は、父の患者である少年・逞と出会い、幼い頃から互いに惹かれあう。だが逞は20歳まで生きられない重い心臓病だった。「大人になったら結婚しよう」と誓う二人だったが、高校に入学し、逞と同じ病気を患う年上の女性・照や、繭に好意を寄せる同級生の昂らの登場で、二人の思いは揺れ始める。
原作は青木琴美の大ベストセラー・コミックだ。このテの話は飽きられるということはないのか、ほとんど同じ骨格で繰り返し描かれる。とても病人には見えない元気な難病美少年と、やたらとモテるヒロインは、ロマンチック路線を爆走するのみだ。女の子の妄想の域を出ない新鮮味のない物語には苦笑するしかない。だがそんな中にもひとつだけ見所があるのだ。それは後半に登場するドナー提供のパート。植物人間になった病人にも家族がいる。その家族の、目覚めるかもしれないという万に一つの可能性と願いを描くのは真摯な姿勢だ。しかも臓器をもらうその人が友人だったなら。こんな作品で…というのはシャクだが、大いに考えさせられるテーマではある。
(渡まち子)
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