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引き出しの中のラブレター - 渡まち子

ラジオというメディアの力を再認識できる(60点)
引き出しの中のラブレター

© 2009「引き出しの中のラブレター」製作委員会

 メールや携帯電話がコミュニケーションの中心になった現代でも、手紙の持つぬくもりは独特のものがある。ラジオ・パーソナリティの真生(まい)は、番組に寄せられた、笑わない祖父を笑わせたいとの少年の相談内容から、絶縁したまま他界した父への思いを受け止めることになる。北海道に住む少年と家族、東京で暮らす真生とその恋人や友人らが織りなす群像ドラマは、大切な人に伝えられなかった思いに改めて向き合うことで、徐々に繋がっていく。

 切ない思いをラジオを通して伝える。分からないでもないが、現実でははたして相手がそれを聞いているかどうかは不確かで、直接言えないことを伝えるツールとしてはリアリティが薄い。それでも各々のエピソードは丁寧で誠実なものだ。常盤貴子演じる真生の行為は、おせっかいスレスレなのだが、彼女が父との確執を抱えていることで、説得力を持ってくる。素晴らしいのはやはりベテラン陣の静かで抑えた演技。特に八千草薫が演じる母親が真生に手紙を託すときに披露する短いエピソードが秀逸で、これで一気に家族のわだかまりが溶解するようで涙を誘う。いい人ばかりの“きれいごと”の物語だが、見えない相手との心の交流を音だけで可能にするラジオというメディアの力を再認識できるだろう。何より、あたたかいあと味がいい。

渡まち子

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