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さまよう刃 - 渡まち子

法律とはいったい何のためにあるのかと深く考えさせられる(65点)
さまよう刃

© 2009『さまよう刃』製作委員会

 法律への不信と不満。重いテーマを扱った問題作だ。むごい事件によって大切な一人娘を失くした長峰は、娘を凌辱して殺した少年たちの名を知る。少年法によって現在の日本の法律では犯人を極刑にできないと考えた長峰は、自ら犯人を追い復讐することを決意。刑事の織部は長峰を追いながらも法と正義の狭間で悩んでいた。

 「警察が守るのは市民ではなく法律のほうなのか」。このセリフが太い軸となって物語を貫いている。法律とはいったい何のためにあるのかと、深く考えさせられるはずだ。犯人の命を狙う主人公の長峰、長峰を追う刑事たち、逃げながらさらに罪を重ねる少年。それぞれの立場によって法の意味は変わってくる。被害者の家族の底知れない絶望が、寺尾聰の熱演によって痛いほど伝わってきて胸が苦しくなるほどだ。だがそれに対する竹野内豊があまりに迫力不足でバランスが悪いのが残念。長峰が最後に取った行動とその結末は衝撃的なものだが、欧米の映画では考えられない弱さも感じる。怒りより哀しみが勝る日本人特有の決着の付け方で主人公の価値観を暗黙のうちに正当化したと言えば言い過ぎだろうか。良心のかけらもない若者を生みだす社会構造に触れない物語には不満だが、法の秩序にわずかに期待して終わるのは、人間性を信じる余韻となろう。ベテラン刑事役の伊東四朗の演技が味がある。

渡まち子

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