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悪夢のエレベーター - 福本次郎

突然止まったエレベーターに閉じ込められた4人の男女。やがて彼らの背景に潜む人には言えない事情が明らかになっていく・・・。そんなありきたりな構成と見せかけて、どこか腑に落ちない点を残しつつ、物語は意外な展開に進む。(50点)
悪夢のエレベーター

© 2009「悪夢のエレベーター」製作委員会

 突然止まったエレベーターに閉じ込められた4人の男女。深夜、外部との連絡は取れず時間だけが過ぎていく。だれともなくこのエレベーターに乗り合わせたいきさつを語るうちに、4人の背景に潜む人には言えない事情が明らかになっていく・・・。そんなありきたりな構成と見せかけて、やたらテンションの高い関西弁の男や、ジョギングに行く途中なのにスプーンを持っている超能力者、飛び降り自殺しようとしているはずなのに下りエレベーターに乗った少女と、どこか腑に落ちない点を残しつつ、意外な展開に進んでいく。

 妊娠中の妻からの連絡を受けた小川は、不倫中の愛人宅マンションから帰宅する途中に乗ったエレベーターで事故にあう。気がつくとそこには2人の男と1人の少女が乗り合わせ、エレベーターは止まったまま。絶望的な状況で乗り合わせた超能力者に心を読まれた小川は、妻への遺言をレコーダーに残すように勧められる。

 小川が覚える違和感は、そのまま観客が感じる矛盾点となって、謎解きの面白さを味あわせてくれる。あやふやな記憶の中でわずかに正常に作動している確かな感触。小川の、自らの意思を超えた何か得体の知れないものに操られている不快感がとてもリアルに伝わってくる。エレベーター監禁の意表を突くオチの後も、映画はさらに予期せぬできごとが次々に起こり、彼らは身動きの取れない泥沼にはまっていく。

 負け犬のごとき主人公が、自分も含めた目的を見つけられずに生きている人間のことを嘆くシーンで始まり、終わるが、これはエレベーター事件の後なのか。彼は「2軍の人生でもバットを振らなければ始まらない」というが、小川の妻の依頼は「バットを振るチャンス」だったのだろうか。そのあたりが物語の趣旨と少しずれているような気がする。また、どんでん返しに次ぐどんでん返しで見る者の予想を裏切ろうという意図はよく理解できるが、全部二重人格の少女・香が立てたプランだったという最後の種明かしは蛇足。これでは計画自体があまりにも偶然に頼りすぎる上、後付けのこじつけのような印象を与えかねない。

福本次郎

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