映画ファン待望の電子書籍(スマートフォン向けアプリ)

子供の情景 - 福本次郎

子供は大人を映す鏡だ。少年たちはタリバンと名乗り、木切れで少女を脅し無関係な少年をいじめる。イスラム原理主義者の名を借りたタリバンのゴロツキがいまだに市民生活を脅かしている現状を、子供たちの戦争ごっこで再現する。(70点)

 子供は大人を映す鏡だ。武器を持たぬものを力ずくでねじ伏せ、気に食わないものは容赦なく処刑する。少年たちは自らタリバンと名乗り、木切れで少女を脅し無関係な少年をいじめる。イスラム原理主義者の名を借りたタリバンのゴロツキどもが、いまだに勢力を保ち市民生活を脅かしている現状を、映画は子供たちの戦争ごっこで再現する。学校へ行こうとするだけで処刑を言い渡し、1人で歩いていると米国のテロリストのレッテルを張る。子供が子供に対して「自由になりたいなら死ね」というセリフが、アフガニスタンという国の現在を物語る。

 アッバスが勉強している姿に、バクタイは学校に行きたいと思い始める。卵をパンに換えてノートを買い、アッバスと共に学校に行くが女の子はダメと言われ、女子校を目指す。その途中、少年の一団に取り囲まれ、ノートを破り捨てられる。

 バクタイの家族は岩山に掘られた穴に住み、母親の代わりに赤ちゃんの面倒を見ている。6歳という設定ながら非常にしっかりしていて、卵をノートに換える過程の真剣な表情が印象的。かわいらしさを前面に出すのではなく、シルクロードの十字路に生きる交易を生業としてきた民族のしたたかなDNAを感じさせる。子供だからといって同情を誘うのではなくあくまで商売に徹するのだ。その観客に媚びないなまなざしが、彼女のおかれた切実な環境を象徴している。

 一度決めたことは最後までやり通す、どんなに理不尽な目に遭っても決してくじけないバクタイのような強い意志が、今のこの国に必要なのだろう。暴力に訴えるわけではないが、自分の意思を毅然とした態度で主張する。女だからという甘えや差別、世の中の事なかれ主義に対して異を唱え、無法者になびくことを潔しとしない。残ったノートの切れ端を大事に持ち歩いてついには女子校の教室にもぐりこむずうずうしさ。バーミヤンの大仏が破壊され慈悲と寛容の心が失われた世界、それを再建し人間が人間らしい暮らしができるようになるには、バクタイが大人になるまで待つしかないのだろうか。。。

福本次郎

スポンサードリンク