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ララピポ - 福本次郎

何をやってもうまくいかないのに、なんとか生きていけるのは、希望が残っているから。理想の姿を想像している間だけは空想の主人公になれる。そんな負け組に近い人々の日常を通じて、リアルな感情をポップな感覚で表現する。(50点)
ララピポ

© 2009「ララピポ」製作委員会

 何をやってもうまくいかないことばかりなのに、なんとか生きていけるのは、ほんのわずかでも希望が残っているから。いや、もはや妄想に近いものがあるのだが、それでも理想とする姿になりきっているところを想像している間だけは空想の主人公になれる。そんな限りなく負け組に近い人々の日常を通じて、彼らのリアルな感情をポップな感覚で表現している。今の生活は自分のものではない、もっと輝ける人生が待っているはずだと思いながらも、這い出せずもがいている登場人物が愛おしい。

 風俗スカウトマンの健治はデパート店員の・智子をスカウトしAV女優に育てる。フリーライターの杉山は居酒屋でデブ専AV女優の小百合と久しぶりのセックスをする。ゴミ屋敷に住む淫乱主婦良枝はカラオケ店店員の青柳をそそのかして自宅に放火させる。

 日々の暮らしにのしかかる漠然とした、しかし圧倒的な威圧感で襲いかかる正体不明の不安。将来をどうしたいかという明確な目標があるわけではなく、このままどんどん底なし沼に沈んでいきそうな毎日から、誰かが救いの手を差し伸べてくれるのを待っている。そんな中、健治と智子だけは嘘で固めた愛を信じながらとりあえず金銭的には底辺からの脱出に成功するが、能力や容姿に恵まれないものは最後まで浮かばれない。それは、生まれついての見かけの良し悪しで訪れるチャンスにも歴然とした格差があるという現実。映画は不細工な男女には容赦なく不幸を与え一切の甘えを許さないが、その切れ味がかえって心地よい。

 健治が手配した親子丼モノのAVで、実の親子である智子と良枝が親子役で共演するシーンにはおかしくも悲しい人間の性が凝縮されている。普段はお互い無視しあうような母娘なのに、ビデオの中では仲のいい母娘を演じている。智子も良枝も心の底ではこんな家庭に戻りたいと思っているが、決して戻れないのも分かっている。幸せ芝居ですらAVの中でしか成り立たないという、失われた家族への憧憬が切なさを誘う。ただ、時折挿入される突き抜けきれないポップな映像が物語のスピードを奪い、中途半端な笑いを誘うのが残念だった。

福本次郎

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