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トロピック・サンダー/史上最低の作戦 - 福本次郎

大量の火薬を使って派手な戦闘シーンを演出するハリウッドの超大作。スケールが大きくなるほど、俳優たちの表現がわざとらしくなっていく。彼らは演技にリアリティを持たせるために、前線の兵士たちと同じ体験をするハメになる。(60点)

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 ジャングルでロケし、大量の火薬を使って派手な戦闘シーンを演出するハリウッドの超大作。そのスケールが大きくなるほど、軍人に扮する俳優たちの表現がわざとらしくなっていく。安っぽい感傷は戦場に必要なく、あるのは死と隣り合わせの現実だけ。なのにそれを理解しない出演者たちに監督はキレてしまう。演技にリアリティを持たせるものは何か。それは銃弾飛び交う前線で戦った兵士たちと同じ体験をし、同じ感情を共有することでしか生まれない。俳優たちは死の恐怖の中に放り込まれる。

 ベトナム戦争映画を撮影中の俳優、タグとカークはメソッドの違いからかみ合わない。映像に緊張感を持たせるために、監督は彼らを含む5人の出演者をジャングルに置き去りにして隠しカメラで撮影しようとするが、そこは武装した麻薬組織が支配する地域だった。

 俳優たちの武器はすべて空砲なのに麻薬組織は実弾を撃ってくる。彼らはまだ真実を知らず、麻薬組織の攻撃もシナリオの一部だと信じている。そんななか、皆「これはおかしいぞ」と思い始めるのだが、役者のプライドがそれを口にすることを許さない。そのあたりの微妙な駆け引きが不安な心理を饒舌に物語る。一方で、この撮影を提案したベトナム帰還兵の原作者が実は偽者だったとか、オスカー受賞5回の名優・カークがタグにオスカー向きの演技を指導するとか、ハリウッドの内幕話が満載で笑わせてくれる。

 1人別行動をとったタグは麻薬組織に捕らえられるが、他のメンバーが協力して救助する。そのあたりのドンパチはいかにも映画的な大げささで、いつしか現実だったはずの設定がリアリティを追求するための虚構という入れ子状態になっている。そんな「映画製作」自体を嘲笑するような姿勢が皮肉たっぷりで、最後までテンションが落ちなかった。また、ハゲのプロデューサーをトム・クルーズが演じていたが、終盤のオスカー受賞式の場面まで気がつかなかった。

福本次郎

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