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P.S.アイラヴユー - 福本次郎

ふとした瞬間に感じる、愛する人の気配。もういないと分っていても楽しい記憶が蘇り、気がつくと更なる喪失感に苛まれる。何を見ても思い出し、耳をふさいでも浮かんでくる会話など、ヒロインが直面する感情が非常にリアルだ。(50点)

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 ふとした瞬間に感じる、愛する人の気配。もういないと分っていても、笑い声にあふれた記憶が蘇り、いつのまにか時間を忘れてしまう。最愛の夫を失った若い妻が悲しみにくれるなか、思い出が楽しければ楽しかったほど彼女を癒す半面、気がつくと更なる喪失感に苛まれる。何を見ても彼に結びつき、耳をふさいでも奔流のように脳裏に浮かんでくる会話など、ヒロインが直面する感情が非常にリアルだ。いつまでもふさぎ込んでいられない、残された者はこれからも自分の人生を生きていかなければならない、そして彼女の再生を通じて、人間は決してひとりではないと教えてくれる。

 脳腫瘍で死んだジェリーの葬儀ののち部屋にこもりきりになっている妻のホリー。彼女の30歳の誕生日に、ジェリーの声で「友だちと一緒に街に出ろ」というメッセージが吹き込まれたテープが届けられる。その後もジェリーからの手紙が送られてくる。

 延々とホリーとジェリーの夫婦ケンカを見せて、二人が置かれている仕事や経済的状況、将来の夢と家族計画などを説明し、深く愛し合っていることをわからせたあと、一気にジェリーの葬儀に展開する導入部分は見事な切れ味だ。ジェリーの闘病を一切描かず、したがってホリーにも看病から解放された安堵感も少しだけ漂っていたりする。死者への哀悼だけではなく、明るく社交的だったジェリーの人柄が偲ばれるシーンだった。

 ただ、映画が持つ雰囲気とヒラリー・スワンクの演技の質が余りマッチしていない。困惑、怒り、悲哀といった心理は眉根に寄せたシワと深い法令線で巧みに表現するというアプローチでよいのだろうが、物語全体がコメディタッチのために違和感を覚える。ジェリーからの手紙に励まされて友人たちと外の空気に触れ、ジェリーの故郷・アイルアンドにまで足を伸ばすが、なかなか立ち直れないホリー。最後の手紙でジェリーとの永遠の愛を胸に刻みながら新たなステージに進むのだが、心からハッピーになって笑っているという印象を受けなかったのが残念だ。

福本次郎

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