映画ファン待望の電子書籍(スマートフォン向けアプリ)

ダーリンは外国人 - 福本次郎

ダーリンは外国人

© 2010「ダーリンは外国人」フィルムパートナーズ

◆日本語の知識には一般の日本人よりも精通しているのに、曖昧な返事や謙遜という日本人独特の習慣には疎い米国人。もはや語りつくされた感のあるカルチャーギャップも、個々のケースをあらためて提示されると思わず吹き出す。(50点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 日本語は達者で、漢語と和語の違いに細かく、慣用句の成り立ちにも興味津津の米国人。日本語の知識には一般の日本人よりも精通しているのに、はっきりしない返事や謙遜といった日本人独特の習慣には疎い。もはや語りつくされた感のあるカルチャーギャップも、個々のケースをあらためて提示されると思わず吹き出してしまう。そんな彼と恋に落ちた日本人女性が、付き合っているときには魅力的に思えたリアクションも、一緒に暮らす上では笑ってすませられない大問題になっている現実に気づく。結婚とは文化的背景の異なる者が共同生活し、その差異を認め合って受け入れることなのだ。

 漫画家を目指すさおりはトニーと同棲しているが、姉の結婚式で両親にお披露目すると父から猛烈な反対にあう。一方、トニーもさおりを家族に紹介しようと米国行きの予定を立てるが、家事の進め方を巡って次第にふたりの心に隙間風が吹き始める。

 トニーとしては、「イエスかノー」「OKかNG」を明確にしてほしいのに、日本人らしい奥ゆかしさを持つさおりはトニーが洗いモノや洗濯をするだけで上出来と曖昧に微笑むのみ。この「衝突を恐れて笑顔でごまかす」感性がトニーには頭痛の種で、逆にさおりに対する不満がたまっていく。当事者にしかわからない齟齬や葛藤が繊細な心理として語られていて、安易に外国人に憧れる日本人に国際結婚がいかに大変かという警鐘を鳴らす。

 やがて、父の死をきっかけに血のつながらない他人とひとつ屋根の下で人生を共にするとはどういうことかを母から教わったさおりは、関係を修復できないまま帰国したトニーを追って単身渡米する。しかし、この辺りから物語を急ぐようにふたりは和解し、さおりはトニーの家族にも温かく歓迎される。同じ人間同士、お互いが理解しよう・理解させようと努力し続ければ国籍や民族の壁は乗り越えられると言いたいのはよくわかるのだが、後半のプロセスは表層をなぞっている感じ。もっと生理的に拒否反応する部分などもリアルに描き込んで欲しかった。

福本次郎

スポンサードリンク