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ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 Part2 ルージュ編 - 福本次郎

◆「脱獄とは権利であり義務である」と言い放ち、社会に対して異議を唱え、自分の犯罪行為を革命と位置付ける。自己顕示欲がますます強くなり、一犯罪者として片付けられない時代のアイコンになった主人公の壮絶な後半生を追う。(70点)

ネタバレ注意! この批評は結末に触れています。

 「脱獄とは権利であり義務である」と言い放ち、社会の権威や権力に対して敢然と異議を唱える。相変わらず強盗を繰り返す逃亡生活、逮捕されても必ず脱獄するしぶとさ。その憎しみはQHSという警察組織にむけられ、自分の犯罪行為を革命と位置付ける。しかし、そんな立派な能書きとは裏腹に思想的背景など微塵もなく、本人はただ女と贅沢な暮しがしたいだけの極めて俗物。自己顕示欲がますます強くなり、一犯罪者として片付けられない時代のアイコンにまでなった主人公の壮絶な後半生を追う。

 73年、銀行強盗で逮捕されたジャックは、裁判中に判事を人質にとるという派手な脱出劇の末、またしても自由の身になる。だが、ジャック逮捕に命をかけるプルサール警視に包囲され投降、服役するが、今度は獄中で書いた自伝を出版する。その後、獄中で知り合ったフランソワと協力、3たび脱獄に成功する。

 Part2でも2度の脱獄劇が繰り広げられるが、フランス当局の銃管理の甘さには驚かされる。さらに銀行強盗を事前に察知しているのにジャックにメトロで逃げられてしまう始末。官憲の無能ぶりを強調しているわけではないが、あまりにも簡単にジャックに手玉に取られる醜態を繰り返すので、ジャックの人気が上昇するのもうなずける。新聞が名付けた「公共の敵No1」の称号は、一般大衆にとっては憎しみや恐れよりもむしろ反体制のシンボル、本人も十分に理解したうえでその役割を演じていたはずだ。

 やがてプルサール警視に隠れ家を見つけられ、ジャックは警官隊に銃撃され息絶える。まさに「ボニーとクライド」を彷彿させる血まみれの最期。思いのままに生きた人生は、おそらく願い通りの死にざまだったに違いない。カメラはあくまでジャックと少し距離を置いている。ことさら彼をヒーローとしてとらえるのではなく、1人の人間として客観的に描きたかったからだろう。それでも権力や体制と最後まで戦い続けた彼の姿は「人生を生きる」とはどういうことかを強烈に示してくれた。それがたとえ誤った道であっても。。。

福本次郎

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